埼玉県の墓じまい補助金制度とは?2025年の支援制度を徹底解説

近年、日本全国で墓じまいが増加しており、埼玉県内でもその件数は多くなっています。
墓じまいとは、現在の墓地を解体・撤去して使用権を返還し、遺骨を別の場所へ移して供養することです。しかし、墓じまいには多額の費用がかかるため、経済的負担を軽減したいと考える方も多いです。
また、無縁墓(管理・供養が行われなくなったお墓)の増加も社会問題となっています。このような背景から、国や地方公共団体が墓じまいに対して一定の金額を支援する「墓じまいの補助金・助成金」制度が注目されています。
この記事では 埼玉県における墓じまいの補助金・助成金制度を解説します。
↓当グループでは、墓じまい後の選択肢としての樹木葬や永代供養墓をご紹介しています↓

埼玉県の墓じまい費用相場と補助金制度

埼玉県での墓じまいの総費用の相場は、30〜300万円とされています。決して安くない金額であるため、補助金制度の活用や費用を抑える工夫が重要です。

まずは、墓じまいの費用の詳細について解説します。
お墓の「解体・撤去」にかかる費用

工事費(墓石撤去費用):相場は1平方メートルあたり10~15万円程度です。
閉眼供養(魂抜き)のお布施:相場は3~5万円程度です。
離檀料:お寺によって考え方が異なるため差がありますが、相場は3~15万円程度です。
行政手続きにかかる費用
改葬許可証の交付には下記の3つの書類が必要です。
1.改葬許可申請書
2.埋蔵証明書
3.受入証明書
交付のための諸々の手数料は0~1,500円です。
墓じまい後の新しい納骨先にかかる費用
遺骨をお墓から取り出した後には、原則としてその遺骨を別の場所に納骨する必要があります。しかし、納骨先の墓地や供養方法は様々な種類があるため、費用は大きく異なります。くわしくは、「墓じまい後の供養方法(埼玉県内)」をご覧ください。
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墓じまいの補助金・助成金とは

国や地方公共団体が墓じまいに対して一定の金額を支援する制度を「墓じまいの補助金・助成金」と呼びます。自治体による墓じまい支援は、主に以下の3種類に大別されます。
① 原状回復費用の助成
この支援は、お墓の「解体・撤去」に関する支援です。
墓じまいに際して、墓石の撤去、埋め戻し、周辺の整備など、墓地の原状回復に必要な工事の実費の一部を行政が補助します。具体的には、撤去作業に伴う重機の使用料や、廃棄物の処理費用、さらには現地の安全確保や環境保全のための整備費用などが給付の対象となります。
② 墓地使用料の返還
この支援は、墓じまいを直接支援するものではありませんが、すでに納めていた墓地使用料が還付されるという支援です。
墓じまいにより墓地が使用されなくなった場合に、前払いされていた墓地使用料の一部または全部が返還される仕組みとなっています。一般的に一度支払われた使用料は返金されません。しかし、この制度が設けられている自治体では申請手続きに基づいて金額が計算され、一部が返金されることがあります。
③ 改葬支援
この支援は、「墓じまい後の新しい納骨先にかかる費用」を軽減する支援です。
この支援では、遺骨を他の墓地や納骨堂へ移す際に、必要となる各種手続きや費用の一部を自治体がサポートします。原則として、改葬先は自治体によって指定された場所に限定されます。場合によっては、他人の遺骨と一緒のお墓に納められる「合祀」に限定されます。合祀された遺骨は二度と取り戻すことができません。そのような場合には、サポートを受けるかどうかについて、特に慎重に検討する必要があります。
これらの補助金は、地域墓地の整備促進、無縁墓問題の解決、環境負荷の軽減などを目的として支給されています。
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埼玉県の墓じまい補助金制度の概要

現在、埼玉県には、墓じまいを支援する公的な制度はありません。
また同じく埼玉県内の各市町村においても、墓じまいに特化した補助金制度を設けている自治体は確認できません。全国的に見ても、個人が行う墓じまいへの直接的な経済支援は少ないのが現状です。
社会全体の変化や住民ニーズの高まりに応じて、将来的には埼玉県においても墓じまい支援制度の整備が実現するという可能性は否定できません。
しかし、墓じまいを検討する理由や適切なタイミングはそれぞれのケースによって異なるため、必ずしも制度の整備を待つことが最適とは限りません。重要なのは、ご自身の状況に応じた適切な判断をおこなうことです。そのための手助けとして、次に墓じまいの手続きの全体像について解説いたします。
埼玉県の墓じまい手続きの流れ

墓じまいは、墓石の解体・撤去、墓地の更地化、そして遺骨の改葬の3つを行うことを指します。全体の期間は、見積もりから新しい供養先への納骨まで2ヶ月から6ヶ月程度かかります。
墓じまいをスムーズに進めるための一般的な手順は以下の通りです。
家族・親族との相談
墓じまいは親族にとって思い入れのある事柄であるため、トラブルを避けるために早い段階で親族と話し合い、同意を得ることが重要です。なぜ墓じまいをしたいのか、費用やスケジュールについて協力してほしいのかなどを率直に伝えましょう。
墓地管理者への相談
親族の同意が得られたら、お墓のある寺院のご住職や霊園の管理事務所などの墓地管理者へ、墓じまいの意向を伝えます。閉眼供養などの儀式や必要書類のやり取りがあるため、事前に話を通しておくことがスムーズな進行につながります。
新しい納骨先の決定
墓じまい後の遺骨の供養方法(永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨、手元供養など)と納骨先を決定します。改葬許可証の申請に新たな供養先の情報が必要となるため、工事を始める前に決めておく必要があります。
改葬許可証の取得
埋葬されている遺骨を他の場所に移す「改葬」には、自治体の許可が必要です。お墓がある地域の市役所や役場で「改葬許可申請書」を入手し、必要事項を記入して提出します。この申請書には、現在の墓地管理者による記入・押印が必要な箇所もあります。
閉眼供養と遺骨取り出し
墓石の撤去工事を始める前に、お墓に宿る魂を抜く「閉眼供養」を執り行い、その後、遺骨を取り出します。
墓石撤去工事
石材店に依頼し、墓石の解体・撤去を行い、墓地を更地に戻します。複数の石材店から見積もりを取り、比較検討することが推奨されます。
墓地返還
墓石の撤去工事が完了したら、墓地の管理者へ墓地の使用権を返還します。不完全な状態で返還するとトラブルにつながる可能性があるため、必ず原状回復をしてから返還しましょう。
新しい納骨先への納骨
墓じまいが完了したら、事前に決めておいた新しい供養先へ遺骨を納骨します。この際、改葬許可証が必要となるため紛失に注意が必要です。
↓墓じまいの流れについてくわしく知りたい方はこちらへ↓
墓じまい後の供養方法(埼玉県内)

墓じまいを行った後、取り出した遺骨は法律により墓地以外の場所に遺棄することが禁じられているため、新たな供養方法を決めて納骨する必要があります。
墓じまい後は、管理の負担が少ない永代供養がついているお墓に納骨する方が多いです。
永代供養がついているお墓にも永代供養墓、納骨堂、樹木葬といったいくつかの種類があり、あるいは散骨や手元供養といった選択肢もあります。
納骨先の墓地や供養方法には多くの種類があり、それに応じて費用は大きく異なります。それぞれの特徴と費用相場を見ていきましょう。
①合祀・合葬墓(石材型):5~30万円

合祀・合葬墓は石材型の永代供養墓の一種で、モニュメントや塔の下に設けられた共有スペースに、骨壷から遺骨を取り出して、ほかの方の遺骨と一緒に埋葬するお墓です。スペースが少なくてすむため、費用相場は5~30万円程度です。
②集合墓(石材型):20~50万円

集合墓は、埋葬方法が集合安置の、石材型の永代供養墓です。モニュメントや像の下の共有スペースに設けられた棚などに、骨壷のまま安置します。費用相場は合祀・合葬墓よりは高くなり、20~50万円程度です。合祀・合葬墓と同様に家族や親族と慎重に相談するとよいでしょう。
③個別安置墓(石材型):50~120万円

個別安置墓(石材型)は、個人や家族で個別に眠るスペースが用意された、石材型の永代供養墓です。個別のスペースがあるため、費用相場は50~120万円と、石材型の永代供養墓のなかでは最も費用が高くなります。
④樹木葬:5~100万円

墓石の代わりに樹木を用いたり、埋葬場所が草花に囲まれているような永代供養墓です。自然志向な点や永代供養であることから、近年人気があります。埋葬人数や埋葬方法によって費用相場も変わりますが、一般的には5~100万円ほどです。
なお樹木葬では、骨壷に入れて埋葬するケースもありますが、そのコンセプトから骨壷ではなく、自然に還る骨袋に入れて埋葬(土葬)するのが一般的です。合祀・合葬、集合埋葬、個別埋葬と、お墓や各墓地によって埋葬方法は異なります。
なお骨壷に入れて安置した場合でも、あらかじめ決められた安置期間を過ぎると、合祀・合葬されることがほとんどです。その点も踏まえ、よく検討するとよいでしょう。
⑤納骨堂:20~150万円

納骨堂は、遺骨を専用のスペースに納骨できる屋内施設です。永代供養がついている施設も多く、ロッカー式や仏壇型、自動搬送式などさまざまな種類があります。費用相場は20~150万円です。とから、風情を感じられないという方もいるようです。また、屋内施設の運営には管理コストが必要なため、永代供養がついていても年間管理費がかかるところもあります。事前に確認しておくとよいでしょう。
⑥永代供養付き一般墓(個人墓):100~150万円

昔ながらの一般墓と全く同じもので、永代供養がついているお墓もあります。大きな墓石を用い、形状は一般墓と変わらないため、費用相場は永代供養墓のなかで最も高く、100~150万円程度です。
⑦散骨:5~40万円以上

散骨は、パウダー状に粉骨した遺骨を海や山などに撒く供養方法です。最近ではバルーン葬や宇宙葬など、空や宇宙に散骨する方法もあります。費用相場は、主流である海洋散骨の場合、5~40万円程度と差があります。
業者に代理で散骨をしてもらう場合が最も安く、船をチャーターし、ほかの方と合同でおこなうのか、ひと家族のみ貸し切りの船でおこなうのかによって費用は変わってきます。また空中散骨では30万円以上、宇宙への散骨となると、80万円以上かかるのが一般的です。
⑧手元供養:数百~10万円

手元供養は、小型の骨壷や専用のアクセサリー、写真立ての中に遺骨の全部、または一部を納めて手元に保管しておく供養方法です。たくさんの種類があるため、数百円から10万円まで費用もさまざまです。

よくある質問

Q. 埼玉県では墓じまいの補助金がもらえますか?
A. 埼玉県には、現在墓じまいに関する補助金制度はありません。
Q. 墓じまいをおこなう前に家族の同意は必要ですか?
A. 法的には墓地の名義人の判断で墓じまいを行うことができますが、親族間のトラブルを避けるため、事前に家族・親族と十分に話し合い、同意を得ることを強く推奨します。
Q. 墓石の撤去は自分でおこなうことができますか?
A. 墓石の撤去は専門的な技術と重機が必要な作業のため、石材店などの専門業者に依頼することが一般的です。安全面や原状回復の観点からも、専門業者への依頼をお勧めします。
Q. 合祀・合葬墓を選んだ場合の注意点はありますか?
A. 合祀・合葬墓では遺骨が他の方の遺骨と一緒に埋葬されてしまいます。一度合祀されると遺骨を個別に取り出すことは二度とできません。費用は最も安く抑えられますが、この点を十分に理解した上で選択することが重要です。

まとめ

この記事では、埼玉県における墓じまい支援制度について、2025年最新の情報を解説しました。
埼玉県では、2025年現在は墓じまいに関する支援制度はありません。墓じまいの総費用は30万円~300万円と高額になるため、経済的負担を少しでも軽減したい方は多いでしょう。
墓じまい後の供養方法としては、行政が管理する合葬式墓地や複合霊堂以外にも、永代供養墓、樹木葬、納骨堂、散骨、手元供養など多様な選択肢があり、それぞれ費用や特徴が異なります。
墓じまいを検討される際は、家族・親族との十分な話し合いをおこない、各自治体の制度内容をくわしく確認したうえで、納得できる最適な方法を選択することが重要です。
全国永代供養墓・樹木葬グループでは、墓じまい後の納骨に最適な樹木葬や、合祀しない永代供養墓をご案内しています。墓じまいや複数の遺骨の納骨にも対応していますので、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事の監修者

小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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