墓じまいは不幸になる?祟られる?本当はどうなのか疑問や不安を解消します
お墓を受け継いでいくことが難しくなってきている現代において、管理に悩み墓じまいを検討されている方が多くいらっしゃいます。しかし、「墓じまいをすると不幸になる、ご先祖様から祟られる(たたられる)」という話を耳にしたことがあるかもしれません。このような話は本当なのでしょうか?この不安や疑問が解消できるよう墓じまいについての誤解を解き、くわしく解説していきます。
墓じまいすると不幸になる?ご先祖様の祟り(たたり)がある?
結論から申し上げると、墓じまいをして不幸になる、またはご先祖様に祟られてしまうなんてことはありません。これらは全て根拠のない迷信のため、次から見ていきましょう。
仏教に故人が祟る(たたる)という考え方はない
まず、仏教には故人が祟る(たたる)という考え方はありません。人は現世のおこないによって亡くなったあとに、仏さまのいる極楽浄土に行くことが可能です。お葬式とは故人が仏さまの弟子となって極楽浄土へ旅立つための準備をおこなう式です。そのため故人が現世に戻ってきて悪さをするというような教えはありません。
「祟る(たたる)」というのは昔ながらの日本の考え方
「祟る(たたる)」という考え方は日本の昔ながらの信仰や神道から生まれたものだと考えられています。例えば、「天神様」として有名な菅原道真(すがわらのみちざね)を始め、非業な死を遂げた有名な方々の「祟り」を鎮めるために創られた神社がよくあります。
しかし、そもそも祟りとは菅原道真のように、生前に苦しめられたことへの報いです。墓じまいは、ご先祖様を苦しめるようなことでは全くありません。管理が難しくなっていくお墓を放置せず、かたちを変えて供養するためのご先祖様のことを想った大切なおこないですので祟られるはずがないのです。
墓じまいがどうして不幸になると思われている?
墓じまいをすると不幸になる、祟られるということはありえない事を解説してきました。ではどうして墓じまいをすると不幸になると耳にしたりするのでしょうか?墓じまいはその言葉から墓をしまう、使わなくなったお墓を片付けるという意味に聞こえがちです。さらに、お墓を片付ける=供養を辞めてご先祖様をないがしろにするというようにイメージされてしまいやすいかと思います。
しかし、実際の墓じまいは、お墓の管理が難しくなってきている状況で、自分の供養しやすい供養方法に変える、将来的に自分が管理できなくなった際にもお寺や霊園に管理してもらえる永代供養のお墓に移す行為です。将来的にも、継続して供養できるように、ご先祖様のことを大切に考えておこなわれることなのです。
日本ではどれだけ墓じまいが増えている?
実際に日本では墓じまいをされる方が急速に増えています。下記の表では、2022年度の改葬(かいそう)件数が15万件を超え、10年前と約2倍近く増えていることがわかります。「改葬」はお墓から遺骨を取り出して別の場所に納める「お墓の引っ越し」のことを指しますが、墓じまい後は新しい納骨先に遺骨を納めることが一般的なため、同じ意味として使われていることが多いです。
年度 | 改葬件数 |
2022年 | 151,076件 |
2012年 | 79,749件 |
引用:e-Stat 衛生行政報告例/第4章生活衛生/埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別 より
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450027&tstat=000001031469&metadata=1&data=1
現代では核家族化や少子高齢化によって、お墓を代々受け継いで守っていくことが難しくなっています。このようななかで、昔ながらのかたちとは変えて、ご先祖様をしっかりと供養していく方法が広がっているのでしょう。
墓じまいをせずお墓を放置するとどうなる?
次に墓じまいをせず、そのままにしているとどうなってしまうのか解説します。お墓を管理せず放置すると、お墓は「無縁墓」となり、遺骨は「無縁仏」になります。無縁墓は強制的に撤去されてしまうことや、遺骨が廃棄され二度と取り戻せないこともあります。
お墓が管理できなくなり無縁墓となってしまうことこそ、ご先祖様が悲しまれることでしょう。今は管理できていても、負担に感じたまま供養をしていたり、将来的に無縁墓になってしまうことを避けるためにも墓じまいをすることはご先祖様のことを考えた大切なおこないです。
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ご先祖様が安心できる墓じまいとは
実際に、墓じまいをおこなう上で、ご先祖様に安心してもらえるような進め方について紹介します。重要なポイントを抑えて丁寧に墓じまいを進めていけるとよいでしょう。
墓じまいの際に閉眼供養(魂抜き)を行う
墓石自体はただの石ですが、お墓を建てる際に、墓石に魂を入れる「開眼供養」という法要をお寺のご住職にやっていただいているはずです。墓じまいの際にはその墓石から魂を抜く「閉眼供養」をおこなってもらうことでご先祖様も安心されるはずです。
トラブルや後悔のないよう墓じまいを進める
墓じまいを勢いで進めてしまい、家族や親族の理解を得られずトラブルに発展してしまった、お寺との関係が悪くなってしまったというケースもなかにはあるようです。また、納骨先についてよくわからないまま決めてしまいあとで後悔してしまうといったこともあります。ご先祖様のことを大切に考えておこなったことで、このような事態にならないよう、墓じまいについて十分に調べ、丁寧に進めることが大切です。家族や親族と十分に話し合い、心のこもった墓じまいをすることで、ご先祖様にも安心してもらえるのではないでしょうか。
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墓じまいの手順
最後に墓じまいの手順を紹介します。下記の表に大まかな流れをまとめてあるので、こちらに沿って準備を進められるとよいでしょう。
手順 | 概要 |
①家族相談 | 家族や親族に墓じまいをしたい理由や背景を説明、相談をして協力してもらう |
②墓地管理者相談 | 今までお世話になった感謝を伝えるとともに、墓じまいをしたい理由や背景を丁寧に説明して理解(承諾)を得る |
③納骨先選び | 新しい納骨先とを探し、実際に見学にいって納得した墓地や霊園と契約する |
④行政手続き | 墓じまいをするお墓がある自治体で、改葬許可証を発行してもらう手続きをする |
⑤閉眼供養 | 墓石から魂を抜く法要をおこなってもらい、遺骨を取り出す |
⑥お墓の解体 | 墓石の解体・撤去工事をして墓地を更地にし、管理者に使用権を返還する |
⑦納骨法要 | 新しい納骨先で納骨と法要をおこなってもらう |
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まとめ(墓じまいについての誤解)
墓じまいをすると不幸になる、祟られるということは全くの誤解であり、根拠のない迷信であることを解説してきました。墓じまいは、昔ながらのかたちとは変えて、ご先祖様をこれからも大切に供養していくための大切なおこないです。お墓のことで悩んでいたり、負担に思いながら管理を続けていることはご先祖様も望んでいないでしょう。本当にご先祖様が悲しまれる無縁墓になることがないよう、丁寧に心をこめて墓じまいを進めることが大切です。
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この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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