墓じまいで後悔しやすい5つの事例を対策ポイントとあわせてくわしく解説します
お墓を継いで守っていくことが難しい現代、墓じまいをされる方が増えています。しかし、墓じまいはほとんどの方が未経験のため、十分に理解しないまま進めてしまい、後悔してしまったという声も耳にします。墓じまい後の納骨先や供養方法によっては、後悔してもとりかえしがつきません。この記事では墓じまいで後悔しやすい5つの事例と対策を紹介します。後悔しないためのポイントを理解して墓じまいの準備に役立てていただければ幸いです。
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墓じまいで後悔した5つの事例
墓じまいで後悔してしまった事例を紹介します。墓じまいを進める上では、家族や親族、お寺などへの相談が不可欠です。この進め方を間違えて後悔してしまうケースや、墓じまいにかかる費用や納骨先の種類など最もよく聞く事例は下記の5つのケースです。
①墓じまい後に親族の理解が得られなかったケース
②お寺との関係が悪くなってしまったケース
③想定よりも費用がかかり予算を超えてしまったケース
④墓じまい後の納骨先に後悔してしまったケース
⑤もっと早く進めるべきだったと後悔したケース
次からそれぞれのケースについて、対策ポイントとあわせてよりくわしく見ていきましょう。
①墓じまい後に親族の理解が得られなかったケース
お墓はご先祖様や故人を想う家族や親族全員に関わりのあるものです。家族や親族との相談が上手くいかずに進めてしまうと、あとでトラブルに発展し、下記のように後悔してしまうケースがあります。
・親族への相談が遅れ、新しい納骨先の契約直前にキャンセルすることになってしまった
・墓じまいの費用負担で揉めてしまい家族の間に溝ができてしまった
近年、墓じまいを検討される方が急速に増えているものの、やはりお墓は代々受け継いで守っていきたいと考えている方もいらっしゃいます。墓じまいをするためには家族や親族の理解、そして協力が不可欠です。まずはじめに家族や親族に墓じまいをしたい旨を理由や背景と共に伝え、丁寧に相談するようにしましょう。
家族や親族に相談するポイント
実際に、家族や親族と墓じまいについて相談する際に気をつけておくべきポイントを紹介します。下記にまとめてある重要な3点を抑えて慎重に進めましょう。
1具体的な墓守の負担の説明
はじめに墓を守っていく負担について十分に伝え、理解してもらうことが重要です。年間管理費や修繕費といった経済的な負担は数字で明確に伝えられると良いでしょう。また、維持管理のための負担として、お墓掃除が必要な頻度や、お墓参りの往復にかかる時間、お墓参りにかかる費用なども大きな負担の1つとして説明しましょう。これらの負担はこれまでから現在だけでなく、将来的にずっとかかっていくことを含めて考え、理解してもらうように説明することが重要です。
2墓じまいをしたい旨と費用や手続きの分担について相談
墓守の負担を十分に理解してもらった上で、墓じまいをしたい旨を丁寧に伝えることが大切です。この際に、墓じまいにかかるおおよその費用イメージも伝えられると良いでしょう。そのため、墓石の工事費用の概算を調べておいたり、新しい納骨先の候補をいくつかピックアップしておくことも重要です。最後に、家族や親族に費用や手続きの分担について相談してみましょう。
3墓じまい以外の解決方法の検討/分骨の検討
家族や親族との話し合いの中で、やはりお墓を守っていきたいという親族がいる場合はその方に墓守を任せることも検討しましょう。お墓は長男だけでなく誰が継いでも問題ありません。
また、お墓が遠方にあってお墓参りが難しいため、自宅の近くに移動させたいけれど、故郷にはお墓を継いで守っていきたい親族がいる場合は、「分骨」という方法で解決できます。分骨とは故人の遺骨を2つ以上に分けて別々の場所で納骨、供養をすることです。分骨をすれば故郷にお墓を残したまま自宅の近くで自分の選んだ納骨先に納めることができます。自分の状況が分骨で解決できるケースかどうかも考えておくと良いでしょう。
②お寺との関係が悪くなってしまったケース
墓じまいをするには、墓地や霊園の許可が必要です。そのため寺院墓地の場合は、家族や親族と相談が終わったあとにお寺のご住職に相談します。墓じまいをしたい旨を丁寧に話せば、多くのご住職が理解してくれるはずです。しかし、この相談をおろそかにしてしまうことで、お寺との関係が悪くなり、高額の離檀料を請求されるなどといったトラブルに発展し、後悔してしまうケースもなかにはあるようです。
お寺に相談するポイント
無用なトラブルを避けるためにもお寺へ相談する際は下記のポイントを抑えておきましょう。
・前提として、「報告」ではなく「相談」のかたちで理解してもらうように務める
・墓じまいをしたい旨を理由や背景と共に丁寧に説明する
・これまでご先祖様を守って供養してくださった感謝の気持ちを十分に伝える
・今後、管理が難しくなることでお寺にも迷惑をかけてしまうことを避けたい気持ちも伝える
③想定よりも費用がかかり予算を超えてしまったケース
墓じまいには費用がかかりますし、決して安い金額ではありません。また、墓じまい後の新しい納骨先では納骨人数によって料金が変わることが多いです。このため、お墓から遺骨を取り出してみたら、知らなかったご遺骨が複数納められていた場合、想定よりも予算を超えてしまうことがあるでしょう。
墓じまいの費用目安
まず、墓じまいの費用目安について知っておきましょう。墓じまいの総額は30~300万円で、内訳は次の表のように大きく3つに分けることができます。
お墓の解体・撤去費用では、お墓の広さや立地(工事のしやすさ)などによって費用に差が出ます。また、新しい納骨先はさまざまな種類があるため、どんなものを選ぶかによって大きく費用に差が出ることを覚えておきましょう。
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墓じまいの予算を抑えるポイント
想定よりも予算を超えてしまうなど、墓じまいの費用で後悔しないために気をつけておくべきポイントを3つ紹介します。
1墓じまいを進める前に内部調査をする
お墓の中に遺骨が何体納められているかわからないという場合は事前に内部調査をすることがおすすめです。先ほど述べたように新しい納骨先は納骨人数によって料金が変わることがほとんどです。お墓のなかに何名納められているかを把握することで、より確実な予算を立てることができます。
また、遺骨の状態を確認しておくことも重要です。古いお墓では、ご先祖様のお骨が土に還っていることがあります。この場合、その土をすくって1つの骨壷に納めて新しい納骨先に納めるといった方も多いです。このように遺骨の状態によっても納骨人数である骨壷の数が変わるため、お墓の内部があまり把握できていない方は事前の内部調査をするとよいでしょう。
2お墓の解体業者の相見積もりをとる
墓じまいの予算を抑えるために、石材店などお墓の解体業者の相見積もりをとることも重要です。工事費の設定は石材店によって違うため、必要以上に高額請求されてしまうケースもあります。なるべく複数の石材店の見積もりを取得して、比較検討するとよいでしょう。墓地・霊園によっては指定の石材店があるためその点も事前に確認することが大切です。
3費用を抑えた納骨先や供養方法を検討する
納骨先や供養方法が予算に最も影響します。納骨先として新しい墓地を選ぶ場合、骨壷から遺骨を出して、他の方の遺骨と一緒に埋葬する合祀墓が最も費用を抑えることができます。墓地への納骨ではなく、散骨をして遺骨を海に撒く、またはアクセサリーなどに収めて保管する手元供養を選べば、種類や方法によってはさらに費用を安く抑えることもできます。
しかし、納骨先や供養方法にあとで後悔してしまったというケースもあります。合祀や散骨の場合、あとで後悔しても取り返しがつかないため、次から解説する後悔してしまった事例を読んでデメリットもよく理解しておきましょう。
④墓じまい後の納骨先に後悔してしまったケース
墓じまい後の納骨先や供養方法にはさまざまな種類があり、各霊園や墓地、業者によっても費用はさまざまです。そのため、十分に理解せず選び、下記のようにあとで後悔してしまったケースもよく聞きます。
・費用面で合祀墓を選んだが、実際に遺骨から取り出してほかの方の遺骨が納めてある合祀墓のスペースの中に撒くのを見た瞬間に後悔してしまった。
・散骨をしてからしばらくした後に、お参りして手をあわせる場所がないことに寂しさを感じ後悔してしまった。
・小さな骨壷に入れて自宅に手元供養していたが、自分もいなくなったあと、将来的に自分の子どもや孫世代がその処理に困ってしまった。
一度、散骨や合祀をすると故人の遺骨だけを取り戻すことができないため、あとから後悔してもやり直しができない点も注意が必要です。
納骨先や供養方法で後悔しないためのポイント
納骨先や供養方法で後悔しないために重要なポイントを紹介します。下記の3つのポイントを家族や親族とともに十分に話し合って決めることが大切です。
1埋葬方法
ほかの方と遺骨が混ざる「合祀」でよいか、家族だけで眠れるように「個別」に埋葬したいかは人によっても、考え方が大きく変わるポイントです。
2遺骨が残るかどうか
埋葬方法とも似ていますが、遺骨が残らない方法を選んだ場合、あとから後悔してもやり直しができません。骨壷で納骨するなど、「遺骨を残したい」か、遺骨を土に撒くなど「自然に還したい」かも重要なポイントです。
3お参りする(手をあわせる)場所
墓じまいを進めている途中では気づきづらい点ですが、墓じまい後にお墓参りに来る場所や手をあわせる場所があるかどうかも大切なポイントです。
墓じまい後の納骨先や供養方法
墓じまい後の納骨先や、供養方法のなかで代表的なものも紹介しておきます。下記の表でおおよその費用相場や簡単な特徴もまとめています。先に述べた通り、それぞれにメリットやデメリットがあるため、後悔しないためのポイントを抑えて慎重に検討するようにしましょう。
種類 | 費用相場 | 内容、特徴 |
一般墓 | 100~350万 | 昔ながらの石を建てるお墓 |
個別安置墓 | 50~120万 | 家族だけで個別に眠るマンション型のお墓 |
樹木葬 | 20~100万 | 緑や花に包まれ自然に還るお墓 |
納骨堂 | 20~150万 | ロッカー式などの屋内納骨施設 |
合祀・合葬墓 | 5~30万 | 他の方の遺骨と一緒に埋葬されるお墓 |
散骨 | 5~70万 | 海や山など自然に遺骨を撒く供養方法 |
手元供養 | 数百円~50万 | 小型のアクセサリーなどに遺骨を収めて保管 |
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⑤もっと早く進めるべきだったと後悔したケース
墓じまいで後悔しやすいポイントには、「タイミング」もあります。これまで解説してきたように墓じまいでは、家族や親族との十分な相談や、お寺との丁寧な相談、新しい納骨先選びなど、時間も、体力も必要です。
墓じまいはあまりよくわからず、どうしても後回しにしてしまっていたが、70代を過ぎてから進め始めると想像以上に大変で、もっと早くしておけばよかったと後悔された声もよく聞きます。また、墓じまい後は「お墓の管理の問題が無くなり、とても安心できた」と、いい意味でもっと早く進めておけばよかったという方も多くいらっしゃいます。
墓じまいの手順
最後に墓じまいを進める手順を紹介します。墓じまいの流れを表にまとめていますので、こちらに沿って墓じまいを進められるようにしましょう。
手順 | 概要 |
①家族相談 | 家族や親族に墓じまいをしたい理由や背景を説明、相談をして協力してもらう |
②墓地管理者相談 | 今までお世話になった感謝を伝えるとともに、墓じまいをしたい理由や背景を丁寧に説明して理解(承諾)を得る |
③納骨先選び | 新しい納骨先を探し、実際に見学にいって納得した墓地や霊園と契約する |
④行政手続き | 墓じまいをするお墓がある自治体で、改葬許可証を発行してもらう手続きをする |
⑤閉眼供養 | 墓石から魂を抜く法要をおこなってもらい、遺骨を取り出す |
⑥お墓の解体 | 墓石の解体・撤去工事をして墓地を更地にし、管理者に使用権を返還する |
⑦納骨法要 | 新しい納骨先で納骨と法要をおこなってもらう |
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まとめ
これまで墓じまいで後悔してしまいやすい事例やその対策ポイントを解説してきました。墓じまいに慣れている方はほとんどいないはずです。紹介した後悔しないためのポイントを抑えて、慎重に進めましょう。この記事に書かれた重要なポイントについては、新しい納骨先の墓地・霊園や業者へ、自分が納得できるまでくわしく質問することも大切です。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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