墓じまいの代行業者とは?注意点や費用を抑える方法、手順まで解説
墓じまいを代行業者へ依頼する際は、知っておくべき業者の仕組みや注意点があるため、あらかじめ知識を深めておくことが重要です。
実は、墓じまいの代行業者では、墓石の撤去工事や必要な行政手続きまで、自社で一貫対応できるケースがほとんどないのをご存知でしょうか?
この記事では、最適な墓じまいの業者を選ぶポイントや、費用を抑える方法までくわしくご紹介します。
墓じまいの代行業者とは?
不要なお墓の墓じまいにあたって、「とにかく手間を省きたい」「費用はあまり気にしない」という方は、代行業者を活用するのがおすすめです。
墓じまいの代行業者とは、お墓の所有者に代わって、工事業者の手配や必要な手続きの代行、納骨されている遺骨の新たな供養方法を紹介している業者のことをいいます。
代行業者を利用するメリットは、墓地や役所、各業者への相談窓口が1本化できることにあり、墓じまいの知識がない方でもスムーズに進められることです。
墓じまいを代行業者に依頼する流れ
墓じまいを代行業者へ依頼する流れについて、ポイントを押さえて手順を解説します。
①代行業者へ問い合わせて相談をする
代行業者の比較検討ができるよう、インターネットなどで調べて2社以上の候補先へ電話や問い合わせフォームなどから問い合わせて、墓じまいの相談をしましょう。
②見積依頼をする
代行業者へは必ず事前に見積もりを取得して、料金の支払方法や精算時期、追加費用が発生する場合の具体的な内容と金額まで確認してください。
③遺骨の供養方法を決める
墓じまいでは納骨されている遺骨の対処法として、次の3つの供養方法から選択します。
・永代供養や新たなお墓へ遺骨を移す改葬をする
・遺骨を細かく粉骨して海や山林などの自然環境へ散骨する
・遺骨を自宅へ安置して身近で手元供養する
遺骨はお墓以外の場所へ納骨することが法律で禁じられているため、墓じまいでは墓地や寺院へ遺骨の管理や供養をしてもらう永代供養を選ぶ方が大半を占めています。
④申し込みと打ち合わせ
墓じまいの代行業者と遺骨の供養方法を決定したら、申し込みのうえ打ち合わせます。魂を抜く閉眼供養や行政手続きも必要なため、ゆとりある工事の日程調整をしてください。
⑤行政手続きの代行
墓じまいでの行政手続きは代行業者には不可能なため、代行してもらう場合は仲介や紹介によって、行政書士が申請手続きをします。
⑥墓じまい
墓じまいでは、事前に閉眼供養をおこなったあとに、石材店・工務店などの工事業者がお墓に納骨された遺骨を取り出してから墓石の解体撤去工事をおこない、使用権の返還手続きをします。
⑦新たな供養先への納骨や散骨
墓石から取り出した遺骨は新たな供養先へ運搬し、改葬許可証を提示して納骨するか、海や山林への散骨や手元供養をおこないます。
なお、土へ還りやすくするための永代供養や遺骨を撒く散骨では、遺骨をパウダー状にする粉骨が必要になる場合が多く、汚れた遺骨を洗骨するケースも多いです。
墓じまいの代行業者の注意点
墓じまいの代行業者を利用する際は後々まで後悔をしないよう、2つの注意点に気をつけてください。
寺院への墓じまい相談・交渉やトラブル解決は依頼できない
寺院墓地の墓じまいでは、お寺への相談や交渉が必要になりますが、万が一トラブルが起こった場合の対処を含めて、代行業者へ依頼しても自分でおこなうことになるためご注意ください。
とくに気をつけるべき問題は、墓じまいを反対される場合や、高額な離檀料を求められるケースです。自分で対処しなければならないため気をつけましょう。
出典:墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意(国民生活センター)
霊園や墓地で業者が指定されている場合がある
霊園や寺院墓地などの民営墓地の墓じまいでは、工事業者が指定されており、代行業者や代行業者の下請業者では工事ができない場合があるためご注意ください。
民間企業による投資や協力で運営されている墓地では、指定石材店制度と呼ばれる専属業者のみが工事を請け負える仕組みがあります。
墓じまいの代行業者の費用相場
内訳 | 金額 |
墓石の解体撤去代行 | 約20~50万円 |
行政手続き代行 | 約4万円 |
遺骨の取り出しと納骨代行 | 約7万円 |
遺骨の運搬・一時預かり代行 | 約4万円 |
合計 | 約16~30万円 |
依頼する代行内容によっても異なりますが、墓じまいの代行業者の費用相場は、合計で16~30万円です。
ただし、お墓の大きさや構造、新たな供養方法などの組み合わせで変動するため、必ず事前に見積もりを取得しましょう。
また、新たな納骨先の納骨費用が別途必要です。
さらに、代行業者の費用には、次の費用が含まれていないためご注意ください。
・閉眼供養のお布施:約3~5万円
・離壇料:約5~20万円
・遺骨の粉骨や洗浄の費用:約1~6万円
・改葬先の納骨式のお布施:約3~5万円
墓じまいは代行業者を利用しなければ費用を安く抑えられる
墓じまいは、代行業者を利用しなければ費用を安く抑えられるため、知っておきたい2つのポイントについて解説します。
墓じまいの業者は3種類ある
墓じまいの業者は大きく分類すると、次の3つがあります。
・代行業者:行政書士や工事業者や遺骨の供養先との仲介や紹介により代行
・行政書士:役所手続きの代行
・工事業者(石材店・工務店):工事請負
墓じまいの代行業者の多くは、行政書士や工事業者の石材店や工務店、新たな遺骨の供養先などへの業務委託や、顧客紹介をする仲介業の役割を担っています。
つまり、墓じまいで代行業者を利用すると、仲介マージンが発生してしまうため、自分で工事業者の手配や手続きをするよりも、費用が割高になることを知っておきましょう。
墓じまいで絶対に必要なのは工事業者
墓じまいで絶対に必要なのは工事業者です。墓石は見た目以上に重量があり、自分で解体撤去するのは危険なため、必ず石材店や工務店への依頼が不可欠です。
運搬に際しては、ユニック車などの重機も必要になるほか、墓石は産業廃棄物業者によって処分しなければなりません。
一方で、行政手続きは手間こそかかりますが、自分でおこなえば無料〜数千円の費用ですませることができ、故郷など遠方にある役所でも郵送により手続きすることが可能です。
墓じまいの費用を最大限に抑えるには、墓じまいをするお墓の近隣にある石材店や工務店へ遺骨の運搬までの見積もりを依頼してみるとよいでしょう。
墓じまいの業者を選ぶ3つのポイント
失敗を避けて墓じまいの業者を選ぶには、次の3つのポイントがあります。
指定業者がないことを確認のうえ、複数の業者に相見積もりをして比較検討することがおすすめです。
事前に現地の下見をして工事金額を査定してもらえる
墓じまいの見積もりを依頼する際は、現地調査による下見で査定をしてもらえる業者を選びましょう。
お墓の傍まで車両が入れるかによって人件費が決まるなど、墓じまいでは環境調査や墓地の管理者へ確認しなければ、費用が算出できないケースが多くあります。
下見をすることで墓地の状況をしっかりと把握できるため、見積もり金額と実費との差額が生じにくく、追加費用の発生を抑えることが可能です。
墓見積もりの内訳品目と費用が明瞭価格
見積書の内容においては、一式いくらといった曖昧な表記ではなく、具体的な内訳品目と金額が明確に記載されている業者を選ぶと安心です。
ご先祖様から代々継承している古いお墓は、実際に掘削してみなければ、遺骨が何体埋葬されているか分からない場合や、工事が見積もりできないケースなどもあるでしょう。
そのような事態でも、追加費用の可能性について、きちんと説明をしてもらえる業者を選ぶと安心です。
墓じまいの実績が豊富にあり相談にのってもらえる
評判のよい墓じまい業者は経験が豊富で、きちんと話を聞いて相談にのってくれます。丁寧な対応で信頼できる業者を選ぶと、先々までトラブルにもなりにくいため安心です。
契約を焦らせることなく、工事計画にもゆとりをもって対応してもらえると、仕事などで忙しい方でも墓じまいをお任せしやすいでしょう。
遠方にある業者の場合は、写真撮影などによって、工事前後の状況を報告してもらえるかどうかも大切なポイントです。
工事業者のみを利用した墓じまいの手順
工事業者のみを利用した墓じまいの手順をご紹介しますので、代行業者を利用した方がよいかどうか検討する際の参考になさってください。
①墓じまいについて家族や親族と話し合う
身内でトラブルにならないよう、墓じまいにあたっては、事前に家族や親族と話し合って、必ず許可を得るようにしてください。
②現在のお墓のお寺や墓地の管理者へ墓じまいの相談をする
墓じまいをするお墓のお寺や墓地の管理者へはあらかじめ相談をしておくと、揉め事やトラブルが起こりにくくなります。
③遺骨の供養方法や新たな納骨先を決める
遺骨の供養方法や新たな納骨先は、家族や親族が納得できる納骨方法を選択します。とくに、永代供養の合祀や散骨は、遺骨を取り戻すことができないため気をつけてください。
最新の調査結果によると、お墓選びでは全体の約65%もの方が継承者のいらない永代供養墓を選択しており、とくに美しい自然環境へ納骨する樹木葬が人気です。
出典:お墓の消費者全国実態調査(2024年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向(いいお墓)
④工事業者から見積もりを取得をして打ち合わせる
工事業者から下見による見積もりを取得をして内容を確認したら、工事について打ち合わせます。写真撮影や遺骨の搬送など、依頼したいことも工事業者へ相談しましょう。
⑤現在のお墓を管轄する役所から改葬許可申請書を入手する
現在のお墓を管轄する役所から、納骨されている遺骨の人数分の改葬許可申請書を入手しますが、ホームページからのダウンロードや郵送対応が可能なケースもあります。
⑥現在の墓地の管理者から埋蔵証明書と改葬承諾書を入手する
墓じまいをする現在の墓地の管理者から埋葬証明書を入手します。お墓の所有者本人が行政手続きをする際は不要ですが、家族や親族は同時に改葬承諾書も受け取ってください。
ただし、改葬許可申請書の書式によっては、改葬許可申請書への署名・捺印のみで構いません。改葬承諾書も委任状でよい役所もあるため、事前に確認しておきましょう。
⑦改葬先の墓地の管理者から受入証明書を入手する
新たな遺骨の納骨先となる改葬先の墓地の管理者から、受入証明書を入手します。改葬許可申請書の書式によっては、署名・捺印だけで構いません。
⑧現在のお墓を管轄する役所へ改葬許可証を発行してもらう
改葬許可申請書と必要書類が揃ったら、墓じまいをする現在のお墓を管轄する役所へ提出し、改葬許可証を発行してもらいます。
⑨閉眼供養をして遺骨を取り出す
お付き合いのあるお寺へ閉眼供養の日程調整のうえ、日程が決まったら工事業者へ連絡します。都合があえば、閉眼供養の日に遺骨を取り出してもらえます。
⑩業者による解体撤去工事をおこなう
工事は閉眼供養の当日に実施する場合もあれば、お墓の規模により数日間かかる場合や天候により日程が変更するケースもあるため、新たな供養先との日程調整に注意しましょう。
⑪墓地の返還手続きをする
工事が完了したら、墓地の返還手続きをおこないます。墓じまいの補助金を申請する方は、忘れずに申請手続きをしてください。
⑫新たな納骨先へ改葬許可証を提出して納骨する
事前に納骨日を決定したうえ、新たな納骨先へ改葬許可証を提出して納骨します。納骨式を営む場合は、納骨先へ必要品を確認し、親族へも連絡して参列してもらいましょう。
まとめ
墓じまいでは必ずしも代行業者を利用する必要はなく、お墓の近隣にある石材店や工務店への工事依頼や、自分で行政手続きすることで、費用を削減しやすくなります。
新たな供養先がサポートやアドバイスをしてくれるケースも多いため、焦らずに複数の業者へ相談して、信頼できる業者を探すことが失敗しない墓じまいの秘訣ともいえます。
全国永代供養墓・樹木葬グループでは、合祀しない永代供養墓や通年美しい花々に囲まれる樹木葬をご紹介しており、もちろん墓じまいのご相談も承っています。
墓じまいの改葬先としてだけではなく、ご自身の将来のお墓としても利用できる、大人数向けの永代供養墓もご紹介していますので、どうぞお気軽にお問い合せください。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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