墓じまいは誰がする?費用相場と費用を抑える方法まで解説
最近、墓じまいをする方がたいへん増えていますが、いざとなると誰がするのか、「自分が支払うべきなの?」と、とくに金銭面で戸惑う方が多いようです。
そもそも墓じまいはセンシティブな問題。家族や兄弟姉妹はもちろん、夫婦間では相手の親族とトラブルにならないよう、気をつけなければなりません。
そこで、墓じまいは誰がするべきかを判断するための知識や費用について、分かりやすく解説します。費用を抑える方法もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
墓じまいは誰がする?費用の3つの負担方法
墓じまいは誰がするという絶対的な決まりはなく、費用は次の3つの負担方法のいずれかを選択します。
・お墓の承継者が自主的におこない全額支払う
・家族や親族と話し合い協力して支払う
・生前のうちに本人が費用を用意しておこなう
お墓の承継者が自主的におこない全額支払う
墓じまいでは、お墓を相続した承継者が自主的に費用を支払うことが多く、墓地・墓石、仏壇・仏具といった祭祀の権利の承継では、民法により次の条件が定められています。
・慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
・被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
かつては、長男が祭祀財産を引き継ぐ習慣がありましたが、現在は遺言による指名がない限り、他家に嫁いだ娘、姪や甥、故人の兄弟姉妹など、お墓は誰が継いでも構いません。
ただし、祭祀財産は通常の遺産相続とは異なり、相続人同士で分割することはなく、誰か1名が代表して承継することになります。
家族や親族と話し合い協力して支払う
墓じまいにかかる費用は、家族や親族と話し合って、協力して支払うケースもよくあります。
そもそも墓じまいとは、お墓の所有者である本人だけの課題ではなく、ご先祖様や子孫の供養にも関わる家系としての取り組みです。
代々受け継がれた古いお墓ほど多くの方が埋葬されており、墓じまいの費用が高額になる傾向にあるため、家族のみならず親族の方々にも相談してみるとよいでしょう。
生前のうちに本人が費用を用意しておこなう
墓じまいは、誰かが亡くなったタイミングではなく、生前のうちに本人が自分自身でおこなうこともよくあります。
古いお墓を墓じまいして新しいお墓へ引っ越す改葬を検討中の方や、万一のときは家族に負担のかからない永代供養を申し込みをしたいと思っている方もいらっしゃるでしょう。
最近の調査結果によると、墓石の一般墓よりも、継承者がいない方でも申し込める樹木葬などの永代供養墓が人気を集めています。
出典:跡継ぎ不要のお墓を購入した人が約65%「承継者不要」のお墓が選ばれる時代へ(いいお墓)
不要なお墓はいつか誰かが墓じまいしなければならないため、配偶者や子どもに迷惑をかけないように、生前の元気なうちに対処しておくと安心です。
墓じまいをするとよい3つの理由
近年、墓じまいをする方がたいへん増えているのには理由があり、次の3つのメリットがあるためです。
・管理費を支払う必要がなくなる
・お墓の維持管理をする必要がなくなる
・無縁仏を防げる
永代供養という時代にふさわしい供養の在り方を求める方々が増え、2022年度の調査結果によると、墓じまいで遺骨の改葬をした方は15万件を超え、過去最高を更新しました。
管理費を支払う必要がなくなる
昔ながらの墓石のお墓は管理費が必要となり、霊園や墓地によっても異なりますが、管理費は年間あたり数千円から2万円程度が相場費用となっています。
お墓の管理費は長い目で見ると大きな金額となり、とくに高齢者では年金暮らしにより費用負担がネックに感じて、墓じまいを検討する方が少なくありません。
また、お墓の管理費の費用負担など、子どもへ迷惑をかけたくないという理由から、墓じまいは終活の一環としておこなう方も多いです。
お墓の維持管理をする必要がなくなる
墓石のお墓は自然劣化によって破損したり、雑草や苔が生えたりするため、必ず誰かがお手入れをしなければなりませんが、墓じまいをすれば維持管理の必要がなくなります。
とくに故郷の田舎など、遠方にお墓があるご家庭ではなかなかお墓参りができないリスクもあり、墓じまいをする方が多いという調査結果も報告されています。
出典:【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)
無縁仏を防げる
お墓を放置すると、納骨されている人たちが供養されずに無縁仏になってしまいますが、きちんと墓じまいをしておけば、ご先祖や故人へも失礼がなく先々まで安心です。
なお、遺骨は墓地以外の場所へ埋葬することや、闇雲に処分して遺棄することが法律によって禁じられています。
墓じまいでは墓石の撤去解体をする前に、納骨されている遺骨を新たなお墓へ移すか、永代供養しなければならないためご注意ください。
墓じまいの費用内訳と相場
墓じまいの相場費用は、約30~300万円となっています。費用が必要になる順序で、具体的な内訳と金額について解説します。
行政手続きの費用
墓じまいでは霊園や墓地のみならず、役所手続きも必要となり、書類発行に必要な費用は次のとおりです。
・改葬許可証:0~300円
・改葬許可申請書:0円
・埋蔵証明書(埋葬証明書)・改葬承諾書:基本0円
・受入証明書:基本0円
閉眼供養のお布施
墓じまいでおこなう閉眼供養のお布施金額は3~5万円が相場となっており、僧侶によって墓石に宿っている仏さまの魂を抜き取るための儀式を行います。
墓石の解体撤去費用
墓石の解体撤去にかかる工事代は、墓地区画や墓石の大きさのほか、工事内容や人件費によっても異なりますが、一般的に約20~50万円が相場費用です。
離檀料
お寺によって考えが違うためない場合もありますが、寺院の檀家墓地での墓じまいでは、お世話になったお礼として、約5~20万円の離檀料をお布施として包むことが一般的となっています。
遺骨の改葬先の費用
墓じまい後、取り出した遺骨は新たなお墓への納骨や永代供養が必要となり、約5~250万円の費用がかかります。
墓じまいの費用を抑える6つの方法
墓じまいの費用を最大限に抑えられるよう、知っておきたい6つの方法をご紹介します。
・墓じまいの補助金制度を活用する
・寺院墓地では事前に墓じまいの相談をする
・墓地の管理者へ工事内容を確認する 複数の石材店へ見積取得をして比較検討する
・納骨費用まで含めた総額が安い永代供養墓へ改葬する
・費用の捻出が難しい場合は金利の安いメモリアルローンを利用する
墓じまいの補助金制度を活用する
地域の自治体によっては、対象の霊園・墓地で墓じまいをおこなう方のため、補助金制度や助成制度を用意しています。
地域の制度によっては、数十万円もの大きな金額が還元されるお得なケースもあるため、墓じまいを検討中の方はぜひ事前にチェックしてみましょう。
墓じまいの補助金についてくわしく知りたい方は、こちらをあわせてお読みください。
↓墓じまいの補助金についてくわしく知りたい方はこちら↓
寺院墓地では事前に墓じまいの相談をする
寺院墓地の墓じまいを考えている方は、お墓の維持で悩んでいることをあらかじめお寺へ相談しておきましょう。先に納骨先を契約して一方的な報告になるとトラブルに発展したり、高額な離檀料を請求されてしまうケースも稀にあります。
事前に管理費の負担やお布施の支払いが厳しい実情を難しいこと伝えておくことで、トラブルが発生しにくくなります。
出典:墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意(国民生活センター)
墓地の管理者へ工事内容を確認する
墓じまいをするときは、工事するべき具体的な内容をあらかじめ確認して、不必要な工事代や追加費用の負担がかからないように気をつけてください。
基本的に墓じまいは更地にすることがルールですが、墓地やお墓の状態によっては、基礎コンクリートや外柵を撤去しないですむ場合があり、費用負担を軽減できる可能性があります。
複数の石材店へ見積取得をして比較検討する
墓石の解体撤去工事は石材店や工務店がおこないますが、2社以上の業者へ相見積を取得して、費用内訳を比較のうえ交渉することで、墓じまいの金額を安くしやすいです。
ただし、民営の墓地や寺院では、業者が指定されているケースが多いため事前に確認しましょう。
納骨費用まで含めた総額が安い永代供養墓へ改葬する
墓じまい後の改葬では、管理費の有無や納骨費用はもちろん、自分自身の家族など、先々まで見据えた納骨人数を試算のうえ、総額費用が安い永代供養墓を選ぶと失敗しません。
永代供養墓には樹木葬や納骨堂などさまざまな種類があるため、お墓参り時の利用条件までしっかりと確認のうえ、家族や親族も安心のできる納骨先を選びましょう。
費用の捻出が難しい場合は金利の安いメモリアルローンを利用する
墓じまいの費用の捻出が難しいときは、霊園や石材店が提携している金利の安いメモリアルローンの利用を検討するとよいでしょう。
メモリアルローンは銀行でも用意されており、フリーローンなどの名称で低金利で提供されています。
まとめ
墓じまいは、家族や親族の承諾を得られれば誰が対応しても構いませんし、費用負担においても、必ずしも承継者が出費しなければならないという決まりはありません。
ご先祖様や故人のためにも、家族や親族が円満解決できるよう、しっかりと話し合うことが大切です。
全国永代供養墓・樹木葬グループでは、墓じまいはもちろん、墓じまい後の永代供養墓について、完全無料でご相談を承っており、資料請求や見学予約にも対応しています。
大人数が納骨されたお墓の墓じまいや、大切な遺骨を土へ還さずにずっと維持し続けたい方に最適な永代供養墓もご案内していますので、どうぞお気軽にお問い合せください。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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