永代供養は法事しなくてもいい?法事の流れや服装、準備まで解説
永代供養がついたお墓では霊園や寺院が遺族に代わって亡くなった方の供養を行います。
霊園や寺院が供養してくれるなら、遺族で法事や年忌法要はしなくてもいいのでしょうか?
この記事では永代供養のお墓を利用している遺族は、法事やお墓参りをしなくてもいいのかどうかについて説明します。
また、法事をおこなう際の費用や流れについても説明します。
永代供養でも法事や年忌法要はしなくてもいい?
結論から述べると、寺院や霊園が供養してくれるため、永代供養では遺族は法事や年忌法要は必ずしもしなければいけないということはありません。
しかし、故人と遺族の両方のためにも、遺族で法事や回忌法要をおこなった方がよいでしょう。
その理由をくわしく説明します。
故人の追善のためにした方がいい
法事をおこなうことで、追善供養になります。
追善とは故人の仏さまの世界での幸せを願って善い行いをし、故人に功徳を分け与えることです。
また、故人のために追善供養をおこなうことにより、その功徳が自身にもかえってくるとされています。
残された遺族のためにした方がいい
法事や回忌法要は故人のためだけではなく、残された遺族のためにもおこなった方がよいでしょう。
法要をおこなうことによって遺族で集まる機会を作ることができます。
親族などで顔をあわせ、故人を偲ぶことにより深い仲になることができるでしょう。
また故人を偲ぶことで、これまで私ひとりで生きてきたのではなく、故人をはじめ多くの方に支えられてきたことなど大切な人生の教訓に気づくきっかけとなるでしょう。
日常を生きるなかで忘れてしまいがちな周囲への感謝や生きるよろこびを改めて感じ直すことができる貴重な経験となるかもしれません。
法事や年忌法要は遺族の仲を深め、自分自身の在り方について考え直す大切な機会でもあります。
永代供養で遺族が法事をおこなう6つの主なタイミング
永代供養の場合、寺院や霊園が供養してくれますが、遺族でも法事をおこない故人を供養したいと思う方もいるでしょう。
ここでは遺族が法事をおこなうとよい代表的なタイミングを6つ紹介します。
四十九日の法要
四十九日とは故人がなくなった日を1日目としたときの49日目の日を指します。
四十九日に法要をおこなうのは、仏教の教えに由来があります。
仏教では人が亡くなると7日ごとに極楽浄土に行けるかの裁判がおこなわれるとされています。その最後の裁判が49日目になるため四十九日に供養をおこない、故人が極楽浄土へたどり着けるようにと願います。
一周忌や三回忌などの年忌法要
四十九日に仏さまに生まれ変わった故人様が極楽浄土で幸せに過ごせるように冥福を祈っておこなうのが1周忌以降の法要です。
故人がなくなった日からちょうど1年や2年のタイミングでおこなう法要を年忌法要といいます。
一周忌や三回忌は永代供養のお墓であっても、遺族で法要をおこなうことがほとんどです。
3回忌のあとは7回忌、13回忌のタイミングなどで回忌法要をおこなうことも可能です。
永代供養のお墓であっても33回忌まで法要をおこなう方もいます。
注意点として、一周忌は故人が亡くなった日からちょうど1年のタイミングでおこなうのですが、3回忌は故人が亡くなった日からちょうど2年のタイミング、7回忌は亡くなった日から6年のタイミングでおこないます。
3回忌以降は書いてある数字より1年早く法要をおこなうので、うっかり法要のタイミングを逃してしまわないよう注意しましょう。
祥月命日
祥月命日は「しょうつきめいにち」と読みます。
祥月命日はこれは一周忌以降の命日のことを指します。例えば6月11日に亡くなった方の場合、次の年からの6月11日が祥月命日になります。
一周忌や三回忌などの回忌法要がおこなわれる年でなくても、毎年祥月命日の法事をおこなってもよいでしょう。
月命日
月命日とは故人が亡くなった月以外の故人が亡くなった日を指します。
例えば6月11日に亡くなった人の場合、6月以外の月の11日が月命日となります。
月命日はお墓参りにくる方が多いですが、月命日のタイミングでは遺族で法事をおこなうことも可能です。
お盆の期間におこなう法事
お盆は故人の霊魂がこの世に帰ってくる期間とされ、親族が集まりやすい時期でもあるため、法事をおこなう時期として適しています。
特に故人がなくなって初めてのお盆を初盆(新盆)と言います。
初盆(新盆)は霊魂としての初めての里帰りとなるので、家族や親族で迎えてあげるとよいでしょう。
お盆の時期は、僧侶は忙しいことが多いため、法事をおこなう場合は早めに相談しておきましょう。
お彼岸
お彼岸は毎年春と秋の2回あり、春分の日と秋分の日の前後3日間を含めた7日間を指します。
お彼岸は伝統的にお墓参りや法事がおこなわれてきた時期であるため、法事をおこなってもよいでしょう。
お彼岸の時期はお盆ほどではないですが、法事の依頼が立て込む寺院もあるため、法事をおこないたい場合は早めに僧侶に連絡しておきましょう。
永代供養の法事や年忌法要にかかる費用
永代供養の法事の費用内訳は主にお布施と会場代、御膳料に分けられます。
お布施
まずは僧侶に法事や年忌法要をおこなってもらうためのお布施が必要です。
お布施の相場は3~5万円程度です。
お布施はあくまでも気持ちを納めるものですので、無理をしすぎる必要はありません。
お布施について不安な場合は僧侶に聞いてみると丁寧に教えてくださることも多いでしょう。
会場代
もし、祭場ホールを使用して大々的に法要をおこなう場合はお布施とは別に会場料を払う必要があります。
会場料の相場は3千~2万円程度です。
会食代
もし、法事のあとに会食もおこなう際は会食代が必要になります。
特に四十九日や一周忌などの年忌法要の際は会食をおこなうことが多いです。
会食代の相場は1人当たり3~5千円程度です。
御膳料
御膳料は僧侶が会食に参加しなかった場合に僧侶に渡す費用です。
御膳料の相場は5千~1万円程度です。
御車料
御車料は僧侶に遠方から自宅や、ホール、会食の会場に足を運んでもらう際に支払う費用です。
御車料の相場は3千~1万円程度です。
↓永代供養にかかる各種費用についてくわしく知りたい方はこちらへ↓
永代供養で遺族が法事をおこなう流れ
永代供養で法要をおこなう場合でも一般の法要と特に流れは変わりません。
法要をおこなう際の手順をこちらで解説いたします。
親族と相談し日程を決める
まずは法事をおこなう日程を決めましょう。
日程を決める際には参加する家族や親族と相談しておくことが大切です。
法事は一周忌やお盆など決まったタイミングでおこなうことが多いため、親族もおおまかな日程を分かっていることもありますが、法事をおこなう日程が決まればすぐに参列者に伝えるようにしましょう。
永代供養をお願いしている寺院や霊園に法事・法要の相談する
永代供養の法事の場合は永代供養をお願いしている寺院や霊園に法事をおこなってもらうことがおすすめです。永代供養をお願いしている寺院や霊園であれば快く引き受けてくれるでしょう。
法事をお願いするときは僧侶の予定が入ってしまう前に早めに相談するとよいでしょう。
会食場所の用意
法事のあとに会食をする場合は会食場所を予約しておく必要があります。
会食は必ずしも必要なものではないですが、親族の仲を深める機会としてはよいかもしれません。
会食をおこなう会場をどこにすればいいかわからない場合は寺院や祭場、ホールに相談してみましょう。
当日の法事
永代供養の法事であっても普通の法事と流れは同じと考えてよいでしょう。
法要は僧侶が主導しておこなうため、遺族が準備しておかなければいけないことは特にはありませんが、段取りの確認などはしておいてもよいでしょう。
法事のあとは僧侶に感謝を伝えるのを忘れないようにしましょう。
お墓参り
一般的に法事のあとには故人が眠るお墓にお墓参りをします。
永代供養のお墓参りの方法についてはお墓ごとに若干異なります。
それぞれのお墓ごとのお参りの方法については「永代供養墓ごとのお墓参りの方法」をご覧ください。
永代供養の法事や年忌法要の注意点
永代供養の法事や年忌法要をおこなう際に気をつけておかなければいけない点がいくつかあります。
ここでは3つの注意点をピックアップして紹介していきます。
家族や親族とあらかじめ日程調整しておく
永代供養で法事や年忌法要をおこなうことが決まれば、家族や親族と日程調整をおこなっておきましょう。
寺院や霊園への連絡は早めにしておく
寺院や霊園への連絡は早めにおこないましょう。
特にお盆の時期は僧侶が1年で最も忙しい時期になります。
初盆など、お盆に法要をする際はできる限り早く寺院や霊園に連絡しましょう。
お墓参りのお供え物は必ず必要ではない
法事や年忌法要のあとはお墓参りに行く人が多いです。
このお墓参りの際のお供え物は必ず必要なわけではありません。
逆に霊園側が自然保護の観点からお供え物を禁止していたり、火気厳禁で線香を使用を禁止している霊園もあります。
お墓参りの際にお供え物をしたい場合は寺院や霊園に確認してみましょう。
永代供養の法事や年忌法要の際の準備
永代供養の法事での服装や持ち物はお葬式などの法事と同様と考えてよいでしょう。
永代供養の法事や年忌法要の際の準備は普通の法事とほとんど変わりません。
ここでは永代供養の法事の持ち物や服装について解説します。
持ち物
寺院にわたすお布施を用意しておきましょう。
永代供養の法事の場合でも、普通の法事と同様に僧侶に渡すお布施を用意しておきましょう。
お布施の金額などについては「永代供養の法事や年忌法要にかかる費用」をご覧ください。
服装
服装については普通の法事と同様に、喪服を着るのが一般的です。
もし喪服がなければ黒のスーツや、シンプルなデザインの黒のワンピースを着用するとよいでしょう。
永代供養墓ごとのお墓参りの方法
永代供養の法事の後は一般的にお墓参りに行きます。
永代供養墓の種類によってお墓参りの方法が異なります。
以下ではお墓の種類ごとのお墓参りの方法を説明します。
個別安置墓
個別安置墓の場合、家名や故人の名前が彫られた石などが設置されることが多いです。
故人がどこに眠っているかわかりやすいため、故人が眠っているお墓の前で手をあわせましょう。
個別安置墓の場合、線香や献花をおこなうことができることが多いです。
線香の使用などについて不安な場合は寺院や霊園に確認してみましょう。
集合墓
集合墓には全利用者で共有のモニュメントや香炉、供花台が設置されています。
集合墓のお墓参りでは共有の香炉や供花台に線香やお供え物をし、モニュメントの前で手をあわせましょう。
樹木葬
樹木葬にはさまざまなかたちがありますが、樹木や墓誌に向かってお墓参りをすることが多いです。
個別型の樹木葬であれば家族ごとに墓誌やシンボルツリーがあるため、その前で手をあわせましょう。
樹木葬は自然保護のためにお供え物や線香が制限されていることがあるため、事前に寺院や霊園に確認しておきましょう。
納骨堂
ロッカー式や仏壇式のように個別で骨壺が安置されているタイプの納骨堂であれば、その前でお墓参りをおこなうことが可能です。
納骨堂は屋内にある施設のため、火気厳禁で線香を焚くことが禁止されている場合があるので、注意しましょう。
↓永代供養墓についてそれぞれくわしく知りたい方はこちらへ↓
よくある質問
初盆は永代供養でもおこなうのですか?
初盆は永代供養でもおこなうことが可能です。
初盆は故人が初めてこの世に帰ってくるタイミングなので、法事をおこなって迎えてあげた方がよいでしょう。
法事をしないとどうなるのですか?
永代供養の場合、法事をしなくても何か問題が起きるわけではありません。
しかし、故人の極楽浄土での幸せ(ご冥福)をお祈りをするために非常に善いおこないとされています。
また、法事は親族との仲を深め、自分を見つめなおす機会になります。
故人としても法事をしてもらえると嬉しいはずです。
永代供養は何回忌までですか?
永代供養は永代とあるように寺院や霊園が続く限り供養が行われます。
管理・供養は永代にわたっておこなわれますが、個別型の永代供養墓や樹木葬の多くは13回忌や33回忌の前後で個別でお骨を安置する期間が終了し合祀となってしまうことがあります。
↓個別納骨期間の期限がないお墓が気になった方はこちら↓
まとめ
永代供養では寺院や霊園が供養をおこなうため、遺族による法事は必ず必要なわけではありません。
しかし、法事や年忌法要をおこなうことで追善になり、自分自身を見つめなおす機会にもなります。
そのため、永代供養でも法事や年忌法要はおこなった方がよいです。
また、法事をおこなうことが決まればなるべく早く親族やお墓を管理する寺院・霊園に連絡するようにしましょう。
全国永代供養墓・樹木葬グループでは、お寺に永代にわたって管理してもらいながら、合祀されることのない永代供養墓や樹木葬をご紹介しています。
永代供養や墓じまい、終活におけるご相談も無料で承っており、生前契約にも対応していますので、どうぞお気軽にお問い合せください。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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