永代供養の夫婦墓とは?種類と費用、4つの注意点まで解説
最近話題の「永代供養の夫婦墓」は、お好みや予算に応じて豊富な種類から選べます。具体的にいくらぐらい必要なのか、気になる方も多いでしょう。
永代供養の夫婦墓とは、継承者がいないご夫婦や、子どもや孫へ費用や管理の負担をかけたくない方におすすめの2人用のお墓です。
しかし、気をつけるべき注意点があり、「夫婦のうち、あとに亡くなった方を誰が納骨するのか」という課題まで対策しなければなりません。
そこで、永代供養の夫婦墓について、種類ごとの費用と注意点から申し込みの流れまで、分かりやすく解説します。
正しい知識を知っておけば、頼れる身内がいなくても安心して夫婦で永代供養してもらえるため、ぜひ参考になさってください。
永代供養の夫婦墓とは?
永代供養の夫婦墓とは、「永代供養をしてもらえる夫婦2人用のお墓」という意味合いがあり、次のようにそれぞれの言葉が特徴を表しています。
・夫婦墓:納骨できる人数
・永代供養:お墓の仕組み
夫婦墓とは?
夫婦墓とはその名のとおり、「夫婦2人のお墓」という意味を表し、2名分の遺骨を納骨するお墓や、2名1組としたセット料金の納骨プランのことをいいます。
複数名を埋葬する墓石のお墓と比較すると、小さく省スペースですむことから初期費用が安価で、後々の管理費が不要のお墓もあります。
形状や環境、納骨方法やお参りの仕方など、さまざまな種類があるため、好みやこだわりからお気に入りのお墓を選びましょう。
永代供養とは?
永代供養とは、寺院や霊園などの墓地へ永代にわたってお墓や遺骨の管理をしてもらうことを表します。
かつてはご先祖様からお墓を受け継ぐことが一般的でしたが、近年は少子化やお墓に対する価値観の変化にともなって、永代供養墓が人気となりました。
永代供養は子どもがおらずお墓の継承者がいないご夫婦や、家族や親族へお墓の維持管理の負担をさせたくない方に最適です。
最新のアンケート調査結果によると、昔ながらの一般墓を選んだ方はわずか2割程度。7割以上の方が永代供養墓を選んでいます。
出典:【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向
永代供養の夫婦墓の種類と特徴
永代供養の夫婦墓には基本的に次の4種類があるため、特徴についてご紹介します。
・個別墓
・個別安置墓
・樹木葬
・納骨堂
個別墓
個別墓とは、完全に独立した墓石のことをいい、和型や洋型やプレート型のほか、自由にデザインできる場合もあり、名前や言葉やイラストなどを彫刻できるケースが多いです。
土地の一定区画を利用することから、夫婦墓の種類のなかでは費用が割高となり、管理費が必要なケースも多々あります。
基本的に一定期間後、遺骨をほかの人と一緒に土へ還す合祀(ごうし)をおこない、期限をともなうことが多いです。
個別安置墓
個別安置墓とは、屋外にある石材でできたマンション型のお墓で、納骨場所が明確に区切られており、対面してお参りができることがメリットです。
扉部分は銘板として彫刻ができるケースが多く、家名や故人の名前を刻むことができるため、親族や友人・知人にとってもお墓の分かりやすさや安心感があります。
ただし、永代供養墓やプランによって、管理費や合祀の有無があるため、事前に確認してください。
↓個別安置墓について知りたい方はこちらへ↓
樹木葬
樹木葬とは、樹木の下や草花に囲まれた自然環境に遺骨を埋葬する永代供養墓で、条件に応じて価格帯が幅広い傾向にあります。
お寺や霊園にある都市型と、専用の山林の土地へ遺骨を散骨する里山型とがあるほか、合祀と個別タイプとがあり、個別タイプでは管理費が必要になるケースが多いです。
なお、合祀タイプの樹木葬では遺骨を細かくパウダー状にする粉骨が必要なケースが多いため、気になる方は事前に確認しておきましょう。
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納骨堂
納骨堂にはロッカー型や自動搬送式など、豊富な種類があり、季節や天候に左右されることなく、お参りしやすい室内の施設であることがメリットです。
耐震対策や老朽化に伴う修繕費として、基本的に管理費や護持費が必要となり、費用としては割高になりやすい傾向があります。
なお、粉骨の必要性や利用期間は納骨堂やプランによって異なり、管理費を支払っている限り維持できるケースもあります。
永代供養の夫婦墓の費用相場
種類 | 費用 |
個別墓 | 約100~150万円 |
個別安置墓 | 約50~120万円 |
樹木葬 | 約40~100万円 |
納骨堂 | 約60~150万円 |
永代供養の夫婦墓の相場費用は約50~150万円となり、基本的な初期費用以外、次の3つのポイントを知っておきましょう。
・管理費や護持費が必要なことがある
・墓石代や彫刻代は別途必要
・納骨料や法要のお布施は別途必要
↓永代供養にかかる費用についてくわしく知りたい方はこちらへ↓
永代供養の夫婦墓に向いている4つのケース
永代供養の夫婦墓が適しているのは、次の4つのケースの場合です。該当する方は検討することをおすすめします。
・お墓の後継ぎがいない
・親と同じお墓や古いお墓に入りたくない
・お墓に費用をかけたくない
・夫婦だけなど2人でお墓に入りたい
お墓の跡継ぎがいない
子どもがおらずお墓の跡継ぎがいないご夫婦や、子どもを頼れないご家庭は、お墓や遺骨の管理をしてもらえる永代供養がおすすめです。
昔ながらの墓石のお墓は所有者が亡くなると子どもが継承者となり、維持管理を行います。
お墓は放置しておくと、雑草や泥汚れなどで荒れてしまい、破損などにより景観を損ねる場合もあるため、メンテナンスやお手入れが不可欠です。
しかし、永代供養墓は寺院や墓地によって維持管理してもらえるため、お墓の跡継ぎがいなくても問題ありません。
親と同じお墓や古いお墓に入りたくない
親と同じお墓やご先祖様から受け継いだ古いお墓に納骨されたくない方は、自分で選んだ永代供養墓に納骨してもらうことが可能です。
義理の父母と同じお墓や、ゆかりのない田舎のお墓に眠ることが嫌な方もいらっしゃるでしょう。
永代供養墓は住み慣れた都心にも多くあり、ご夫婦のどちらかが亡くなったとき、お墓参りがしやすいこともメリットです。
お墓に費用をかけたくない
永代供養墓は昔ながらの一般墓よりも費用が安価なため、お墓に費用をかけたくない方に大きなメリットがあります。
最新の調査結果によると、墓石の購入価格の相場費用の平均は170.7万円でした。
出典:第36回(2023)全国統一 お墓購入者アンケート調査結果発表(全優石)
土地代となる永代使用料を除いた金額だけでも高額ですが、このほかに管理費や護持費が年間1~5万円程度必要となります。
さらに、お墓のメンテナンスなど維持管理に関する費用は自己負担となるため、永代供養墓では後々の費用まで削減可能です。
夫婦だけなど2人でお墓に入りたい
夫婦墓は、自分たちで理想のお墓の場所や形状を選択できることが最大のメリットです。
将来に備えて終活の一環としてお墓を準備したいご夫婦にもおすすめで、生前に予約や契約ができます。
ただし、公営墓地は遺骨がないと申し込むことができないことや居住年数などの条件があるほか、抽選や先着順などにより、必ずしも納骨できるとは限りません。
寺院や民営霊園なら生前の申し込みも可能なため、夫婦だけの2人世帯や子どもへ負担をかけたくない方は、生前のうちに用意しておくと安心です。
永代供養の夫婦墓を利用する流れ
永代供養墓の夫婦墓を契約するにあたって、失敗や後悔を防いでスムーズに申し込む手順を解説します。
1.希望する夫婦墓の種類や場所を検討する
2.永代供養の資料請求をして比較検討する
3.永代供養墓を実際に見学して問題点がないか確認する
4.永代供養の契約手続きをして費用を支払う
5.資料を整理して保管のうえ家族や親族へ伝える
① 希望する夫婦墓の種類や場所を検討する
最初に希望する夫婦墓について、どのような地域や種類がよいかを検討しましょう。
永代供養墓では、とくに合祀に関して個人の見解が分かれるため、ご夫婦であっても事前にしっかりと話し合っておく必要があります。
身内や周囲の人たちにも相談しておくと迷惑をかけることを防げるため、事前に確認してください。
② 永代供養の資料請求をして比較検討する
ホームページなどで気になる夫婦墓があれば資料請求をして、複数のお墓を比較検討します。事前に見積取得までおこなっておくと、具体的な予算を把握しやすいです。
あらかじめ気になる要素や不明点を確認しておくと、二度手間を省けます。
③ 永代供養墓を実際に見学して問題点がないか確認する
候補の夫婦墓が見つかったら、実際に永代供養墓を予約して、現地見学をしましょう。
事前見学はとても重要で、ホームページやパンフレットのイメージ写真の相違によるトラブルを防ぐことができ、お墓参りにおける交通アクセスも確認できます。
環境や仕組みなどの形態のみならず、お墓参りの仕方や料金の支払い方法など、利用条件に関しては詳細まで確認してください。
④ 永代供養の契約手続きをして費用を支払う
永代供養先によっても異なりますが、一般的に次のような書類を準備して契約手続きをおこないます。
・身分証明書
・戸籍謄本や住民票
・印鑑証明書
・埋葬許可証(遺骨がある場合)
ほかのお墓へ納骨されている遺骨を移動する改葬や、墓じまいで永代供養をする際には、納骨されているお墓の管理者へ埋葬許可証を発行してもらうほか、改葬許可証が必要です。
改葬許可証は既存のお墓を管轄する市町村役場へ、改葬許可申請書と埋葬証明書、永代供養先の墓地の管理者が発行する受入証明書を提出して発行してもらってください。
費用の支払い方法は、手渡しや現金振込が一般的です。期日や金額内訳を確認のうえ、支払い手続きをおこないます。
費用にお困りの方は、銀行や信販会社でメモリアルローンを用意しているため、条件や金利を比較検討しても良いでしょう。
なお、お墓は相続税の対象外となり非課税です。生前契約は相続税対策になるメリットがあります。
⑤ 資料を整理して保管のうえ家族や親族へ伝える
永代供養墓を申し込むと、契約書や申込書の控え、利用規約書などの書類が渡されます。紛失に注意して保管し、家族や親族へも情報共有しておきます。
近親者が永代供養墓の存在を把握していないと、別のお墓へ納骨されてしまう事態に陥る可能性があるためご注意ください。
終活ではエンディングノートを活用し、永代供養先の名称や所在地・連絡先、書類の保管場所まで明記しておくのがおすすめです。
永代供養の夫婦墓は納骨手順に特徴がある
永代供養の夫婦墓は納骨の手順に特徴があり、あとに亡くなった方を誰が納骨するのかがポイントです。
1. 先に亡くなった方を配偶者や家族が納骨する
2.あとに亡くなった方は子どもか死後事務執行人が納骨する
① 先に亡くなった方を配偶者や家族が納骨する
先に亡くなった人は、配偶者や子どもなどの家族が納骨します。一般的に遺骨は、四十九日に納骨式をおこなって納骨するケースが多いです。
しかし、いつまでに納骨しなければならないという決まりはありません。
死後に永代供養先を探す場合や、故人に未練がある場合は、転落や転倒に気をつけて、ご自宅の安全な場所へ安置してください。
② あとに亡くなった方は子どもか死後事務執行人が納骨する
あとに亡くなった方を子どもが納骨する際は、トラブルにならないよう、あらかじめ契約内容や支払い方法などを説明しておきます。
子どもがおらず頼れる身内がいない場合は、『死後事務委任契約』を行っておくことで、第三者へ納骨を行ってもらうことが可能です。
死後事務委任契約は、弁護士や司法書士などの専門家へ依頼して、法的な効力によって死後の希望を実現するための契約となります。
永代供養の夫婦墓の注意点4つ
永代供養の夫婦墓では、後々までトラブルにならないよう、次の4つの注意点に気をつけましょう。
・家族や親族と話し合って許可を得る
・合祀された遺骨は取り戻せないことを理解する
・不要なお墓は墓じまいをする
・生前のうちに死後事務委任契約を行っておく
家族や親族と話し合って許可を得る
お墓に対する考え方や価値観は人それぞれ違うため、永代供養の夫婦墓を決める際は、家族や親族であっても事前に相談をして承諾を得ましょう。
永代供養は近年、急速に広がっていますがお墓は代々受け継いでいきたいと考える方もいます。供養に対してはさまざまな考え方があるため、誰もが納得のできる在り方を話し合うのが最良です。
合祀された遺骨は取り戻せないことを理解する
合祀によって土へ還した遺骨は、ほかの方の遺骨と混ざってしまうため、取り戻せないことを理解しておきましょう。
永代供養では合祀しない夫婦墓があるため、少しでも合祀が気になる方は、最適なお墓探しをおこなってください。
不要なお墓は墓じまいをする
先祖代々のお墓など不要なお墓があれば、あらかじめ墓じまいによって墓石の解体撤去と墓地の返還手続きをおこなっておきましょう。
とくに夫婦間では、故郷やお互いの家族や親族への想いから、意見が分かれることがあるため、墓じまいにあたっては必ず親族へも相談して揉め事のないようご注意ください。
生前のうちに死後事務委任契約をおこなっておく
子どものいない場合や子どもを頼りたくないご夫婦は、生前の元気なうちに死後事務委任契約まですませておくと、万一のときも安心です。
死後事務委任契約では、葬儀から納骨まで一括して任せることもでき、親族や友人・知人を指名する際にも、きちんと実行してもらえるように契約をしておくと安心です。
永代供養の夫婦墓でよくある質問
永代供養の夫婦墓でよくある質問をまとめてご紹介します。気になる項目があれば、どうぞお役立てください。
・夫婦墓は2人目が亡くなるとどうなるの?
・2人用の夫婦墓は夫婦以外でも申し込めるの?
・死後事務委任契約では、ほかにどんなことを依頼できるの?
夫婦墓は2人目が亡くなるとどうなるの?
契約によっても異なりますが、一般的には、2人目が亡くなった時点で合祀するケースや、1人目もしくは2人目の納骨から一定期間満了後に合祀するケースが多いです。
一方で、合祀せずに夫婦墓を永代供養し続ける永代供養墓もあるため、必ず事前に確認しましょう。
2人用の夫婦墓は夫婦以外でも申し込めるの?
夫婦墓に納骨できる対象は、永代供養先によって異なり、一般的には夫婦のみならず親子であっても利用可能で、一親等・二親等などの血縁関係にあれば問題ありません。
友人同士などの場合にはNGとなるケースも多いです。また、家族同然でも犬猫などのペットの遺骨については、永代供養墓によって判断が異なります。
死後事務委任契約では、ほかにどんなことを依頼できるの?
死後事務委任契約では、死後の役所手続きや、家賃・医療費・介護施設の利用料・葬儀費用などの必要手続きや支払いのほか、遺品整理なども任せられます。
終活では、認知症や障害を患った場合に備えて、任意後見制度を利用する方も多いため、あわせて検討するとよいでしょう。
まとめ
永代供養の夫婦墓は、費用のみならず、種類による特徴や合祀の有無と期間に注目して選び、死後事務委任契約の必要性までしっかりと理解しておきましょう。
全国永代供養墓・樹木葬グループでは、夫婦墓として最適な人気の樹木葬や、合祀しない永代供養墓をご紹介しています。
永代供養や墓じまい、終活におけるご相談も無料で承っており、生前契約にも対応していますので、どうぞお気軽にお問い合せください。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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