墓じまいの費用が払えない場合は?費用を抑える方法や手順と合わせて解説します
少子高齢化や核家族化によって昔と今では生活のスタイルや環境が変化しています。こうしたなかでお墓を継いでいくことが難しく墓じまいを検討される方が年々増えています。しかし、墓じまいの費用が払えるか心配であったり、実際にはいくらかかるのかくわしくわからず不安な方も多いのではないでしょうか?この記事では墓じまいの費用が払えない場合に確認するべきポイントや費用の内訳、墓じまいの手順までくわしく解説します。
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墓じまいが増えている理由
墓じまいを検討される方の理由や背景を大きく2つに分けて紹介します。こちらに当てはまる方は本記事を読み、墓じまいの費用や流れを把握しておくことがおすすめです。
お墓参りの負担が大きい
墓じまいをする理由で最もよくあるのは、遠方にあるお墓へなかなかお参りに行けず、管理が大変というケースです。都市部への人口集中や核家族化が進むなか、家族が何代にもわたって同じ土地に住んでいること自体が珍しくなってきています。また、今はお参りに行けていても、将来を考えると金銭的にも体力的にも負担が大きいと悩んでいる方も多いでしょう。
お墓を継ぐことが難しい
先に述べた核家族化だけでなく、少子高齢化が進むことでお墓を継いで守っていってくれる方がいないという課題も多くあります。子どもや孫がいても、将来負担をかけたくないと墓じまいをする方も増えています。
お墓を放置すると起こる事
お墓を管理せず放置してしまうと無縁墓になります。無縁墓は強制的に撤去されてしまうことや、遺骨が廃棄され二度と取り戻せないこともあります。ご先祖様から代々受け継がれてきたお墓を無縁墓にはしたくないと誰もが思っているはずです。しかし、墓じまいの費用や、どうすればよいのか不安を抱えて後回しにしてしまうこともあるでしょう。次から墓じまいの費用が払えない場合のポイントや具体的な費用についてくわしく見ていきましょう。
墓じまいの費用が払えない場合に確認するべき6つのポイント
墓じまいの費用が払えない場合は、次から解説する6つのポイントを十分に確認することが大切です。
家族や親戚と十分に相談できているか
お墓とは自分たちのご先祖様を供養する家族や親戚みんなのものです。もし1人で抱え込んでいたら、まずは家族や親戚に相談しましょう。家族や親戚と費用を負担しあうことだけでなく、墓じまいをしたあとに親戚の方が自分のお墓に入れてくれることもあります。墓じまいは誰かに負担を押し付けたり、自分だけが抱え込んだりせず、家族や親戚みんなで十分に話し合って決めていくことが大切です。
墓石の解体業者は相見積もりをとっているか
墓じまいでは墓石の解体・撤去工事を石屋さんなどの業者に依頼します。墓地や霊園によっては、業者が指定されていることもありますが、業者は自分で探してもよいか確認しましょう。自分で探す場合、複数の業者から見積もりをとって費用に納得のできる業者を選ぶことが大切です。
費用が抑えられる納骨先を探せているか
墓じまいの費用は遺骨の新しい納骨先によって大幅に費用が変わります。墓じまい後は一般的に、墓地や霊園が遺族の代わりにお墓を管理してくれる「永代供養」のついたお墓を検討される方が多いです。その他にも散骨や手元供養など費用を抑えた供養方法もあります。永代供養墓にもたくさんの種類があり、それぞれの納骨先の特徴や費用について十分に調べて自分にあったものを見つけましょう。
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自治体に補助金や助けになる制度がないか
数自体はかなり少ないですが、墓じまいの補助金制度を設けている自治体もあります。今のお墓がある自治体に補助金や、それ以外にも助けになるような制度、サポートがないか確認してみるとよいでしょう。
利用できるメモリアルローンがないか
金融機関によっては、お墓や葬儀に関する「メモリアルローン」があります。新しくお墓を建てるための利用が多いですが、審査が通れば墓じまいの費用や新しい納骨先の墓地にも利用することができます。自分にあったローンがあるか確認してみるとよいでしょう。
お寺へ丁寧に事情を話せているか
今あるお墓が寺院墓地の場合、お寺のご住職に相談してみることも大切です。素直に、丁寧に事情を説明することで、お布施など墓じまいに必要な費用を考慮してくださることがあります。
墓じまいにかかる費用の総額と内訳
墓じまいの費用が払えない場合に確認するべきポイントについて解説しましたが、改めて墓じまいの費用についても見ていきましょう。墓じまいにかかる費用は”新しい納骨先の費用によって大きく差があるため総額の相場は30~300万円ほどです。その内訳は「お墓の解体・撤去にかかる費用」「行政手続きにかかる費用」「新しい納骨先にかかる費用」の3つに分けることができます。次からそれぞれの費用を具体的に解説します。
お墓の解体・撤去にかかる費用
お墓を解体・撤去し、墓地管理者へ返還する際に工事業者やお寺に支払う費用の相場は20~70万円ほどです。具体的には下記の3つの費用がかかります
・工事費:平均相場は1㎡あたり10~15万円程でお墓の立地や必要機材によって変動
・閉眼供養のお布施:墓石から故人の魂を抜く法要へのお布施で相場は3~5万円
・離檀料:お世話になったお寺への気持ちを包むもので相場は5~20万円
(※お寺によって考えが違い離檀料がないケースも)
行政手続きにかかる費用
墓じまいの際に必要な改葬許可証を役所で交付してもらう必要があります。この手続きにかかる諸々の手数料は0~1500円程です。改葬許可証の交付には下記の3つの書類が必要です。
・改葬許可申請書:故人の情報や申請者の情報などを記載し、改葬許可証の交付を申請する書類
・埋蔵証明書:今のお墓に誰が入ってるのか、墓地管理者に証明してもらう書類
・受入証明書:新しい納骨先(受け入れ先)があることを墓地管理者に証明してもらう書類
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新しい納骨先にかかる費用
さまざまな種類があるため差が大きいですが、新しい納骨先にかかる費用の相場は5~250万円ほどです。
納骨先の墓地や供養方法にかかる費用
新しい納骨先として下記の墓地や供養方法などがあります。
種類 | 費用相場 | 特徴 |
一般墓地 | 100~350万 | 昔ながらの石を建てるお墓 |
永代供養墓 | 50~120万 | 家族だけで個別に眠るマンション型のお墓 |
樹木葬 | 20~100万 | 緑や花に包まれ、自然に還るお墓 |
納骨堂 | 20~150万 | ロッカーのような形状の屋内納骨施設 |
合祀・合葬墓 | 5~30万 | 他の方の遺骨と一緒に埋葬されるお墓 |
散骨 | 5~70万 | 海や山など自然に遺骨を撒く供養方法 |
手元供養 | 数百円~50万 | 小型の骨壷やアクセサリーに遺骨を収めて保管 |
多くの方に墓じまい後の納骨先として選ばれているのは永代供養のついたお墓です。そのなかでも急速に普及しているのが自然志向の樹木葬です。また、屋外にあり、昔ながらの雰囲気を保ちつつ個別で眠ることのできるマンションタイプの永代供養墓も注目を集めています。
最も費用を抑えられるお墓は合祀・合葬墓ですがほかの方の遺骨の遺骨と一緒に埋葬されることに抵抗を感じる方や、ほかの方とシンボルが共有になるためお参りした際に寂しさを感じる方もいます。
また、お墓への納骨ではなく散骨や手元供養にすると費用を抑えることもできます。散骨も手をあわせる場所がないとあとから寂しさを感じてしまう方や、手元供養では側にあるからこそ悲しみが癒えないといったこともあります。
費用面だけでなく、デメリットもあわせて考えた上で最もあっているものを選ぶことが大切です。
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開眼供養や納骨法要のお布施
新しい納骨先がお墓の場合、墓石に魂を入れる開眼供養、もしくは納骨法要をおこなってもらいます。お布施はあくまでもお気持ちを包むものですが相場は3~5万円です。
墓じまいの手順
これまで、墓じまいの費用が払えない場合のポイントや費用について具体的に解説してきました。最後に実際に墓じまいをする場合の流れや手順を見ていきましょう。
①家族や親族と相談
初めに家族や親族の理解を得て協力してもらうことが重要です。お墓は故人や先祖のことを思う家族や親族全員に関わりのあるものです。墓じまいをしたい理由や背景を丁寧に説明し、相談するとよいでしょう。
②今あるお墓の管理者と相談
墓じまいをするためにはお墓の管理者の許可が必要です。墓じまいを検討している旨を伝え、理由や背景を丁寧に説明することが大切です。
③新しい納骨先や供養方法を決める
墓じまいをしたあとに必要となる新しい納骨先の墓地や供養方法を決めます。さまざまな種類があるため、それぞれの特徴や費用面、デメリットを十分に調べて自分にあったものを探すことが重要です。
④自治体への手続き
墓じまいをするお墓がある市区町村の役所で、墓じまいの際に必要な改葬許可証を交付してもらいます。
⑤閉眼供養(魂抜き)をして遺骨を取り出す
改葬許可証が準備できたら今あるお墓(墓石)から魂を抜く閉眼供養をおこなってもらい遺骨を取り出します。
⑥お墓を解体し撤去する
石材店などの業者に依頼して、お墓を解体する撤去工事を行い墓地を更地にして管理者へ返還します。
⑦納骨法要をして遺骨を納骨する
新しい納骨先がお墓の場合、開眼供養、または納骨法要をおこない納骨してもらいます。
まとめ
墓じまいの費用が払えない場合に確認するべき6つのポイントを下記にまとめています。
1家族や親戚と十分に相談できているか
2墓石の解体業者は相見積もりをとっているか
3費用が抑えられる納骨先を探せているか
4自治体に補助金や助けになる制度がないか
5利用できるメモリアルローンがないか
6お寺へ丁寧に事情を話せているか
上記のポイントを確認しながら、新しい納骨先をどうするかによって費用を抑えることができます。費用面とともにデメリットもよく検討して自分にあったものを探しましょう。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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