樹木葬で後悔する事例とは?後悔しないための注意点までくわしく解説します
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を用いたり、埋葬場所が草花に囲まれているようなお墓です。自然志向で明るいイメージに加え、年間管理費がかからない、後継ぎがいなくてもよいなどの管理の負担の軽さからも注目を集めています。しかしながら、墓石を建てる昔ながらの一般墓とは違う特徴があるため、その点を把握せず選んだ際に問題が発生し後悔するケースがあります。トラブルを避けるためにも、樹木葬で後悔する事例と注意点を確認していきましょう。
樹木葬の種類
樹木葬には墓地の形態や埋葬方法に様々な種類があります。それぞれ後悔してしまうポイントが違うため、実際の後悔事例を知る前に樹木葬の種類ごとの特徴を見ていきましょう。
樹木葬の2つの墓地の種類
樹木葬の種類は大きく里山型と庭園型の2つに分けることができます。
初めに、里山型とは、墓地の許可を受けた山林で埋葬するタイプの樹木葬です。土の中に直接遺骨を埋葬する霊園や墓標(故人がそこにいる目印)として樹木や草花を植える墓地があります。自然の景観を生かした樹木葬のイメージに最も近いものと言えるでしょう。
次に、庭園型とは、墓地や霊園内に専用の場所がある樹木葬です。シンボルとなる樹木のそばに埋葬する墓地や、花に囲まれたガーデニングのような霊園、石碑やプレートに名前を彫刻できるところがあります。里山型と異なり、限られたスペースでもできるため都市部に多いタイプです。
樹木葬の2つの埋葬方法
樹木葬には、合祀型と個別安置型の2つの埋葬の仕方があります。
合祀とは、故人の遺骨を他の方の遺骨と一緒に埋葬する方法です。例えばシンボルとなる大きな木の下にスペースがあり、そこにほかの方と埋葬されるものがあります。
個別安置とは、昔ながらの一般墓のように故人の遺骨を個別に埋葬する方法です。例えばシンボルとなる墓誌やプレートの下に個別のスペースがあり、そこに家族のみで埋葬されるものがあります。
樹木葬全般の8つの後悔事例
ここから樹木葬の後悔事例を紹介していきます。同じように後悔しないためにも8つの事例を確認していきましょう。
季節によって樹木が枯れ、景観が寂しくなった
樹木や草花は、綺麗な景観を年中保っていられるとは限りません。例えば、桜の木をシンボルとするものは、春は綺麗ですが、秋や冬は花や葉を落とし寂しい景観になってしまうことがあります。故人が綺麗な自然に包まれて眠ることを望んで樹木葬を選んだ場合、お参りに来た際に後悔してしまいます。
アクセスが悪かった
里山型の樹木葬などは特に郊外にあることが多く、自宅からアクセスしにくい場合があります。バスが通っておらずタクシーを毎回使わなくてはならない、最寄りの駅やバス停から歩く距離が長いなどのように、アクセスが悪いとお墓参りに足が遠のいてしまいます。
遺骨をあとから取り出すことができなかった
合祀型の樹木葬や土に直接埋葬する樹木葬は、遺骨をあとから取り出すことが出来ません。あとで個別に埋葬してあげたい、ほかの樹木葬に移したいと思っても実現できず後悔してしまうことがあります。
予想以上に費用がかかってしまった
樹木葬は、昔ながらの一般墓と比べ費用を抑えられる傾向にあります。しかし、1人用や2人用としては費用を抑えられるものの、埋葬人数が多い場合は想像以上に費用がかかってしまうこともあります。また、墓地・霊園によっては年間管理費や手数料など、維持費がかかり続けてしまうところもあり後悔するケースがあります。
檀家になる必要があった
契約後の費用や檀家制度の確認をおこなわず、気付いたら檀家になっていた場合があります。あとから追加費用を請求された、お布施や維持費の催促をされた、と困惑し後悔することにつながってしまうかもしれません。
家族皆で一緒に入れなかった
樹木葬には収容人数に限りがあります。家族皆で同じスペースに入れなかった、子供や孫の分も追加で契約しようと思ったが、区画が離れてしまったと後悔してしまうことがあります。
手をどこにあわせればいいか分からなかった
合祀型の樹木葬では、お参りの対象や故人の目印となる墓標がなく、手をどこにあわせればいいか困ってしまう人もいるようです。また、お墓と聞いて墓石を想像する人も少なくなく、シンボルになる木やモニュメントに手をあわせることに違和感を覚えるケースが多くあります。
親族の理解を得られなかった
永代供養であることや遺骨の埋葬方法などに親族が戸惑ってしまい、事前にしっかり相談して欲しかったとトラブルに発展してしまう場合があります。樹木葬ではどうやって法要をするのか契約後の心配をする人もいるようです。
樹木葬で後悔しないために確認しておくべきこと
8つの事例のような後悔を防ぐために以下の4つのポイントに注意しましょう。
事前見学をする
事前見学をおこない、墓地へのアクセスや景観の変化を事前に確認しましょう。公共の交通機関で墓地に行けるのか、施設内の設備などがバリアフリーでお墓参りしやすいかどうかは気をつけるべきポイントです。また、秋冬の樹木や草花はどうなってるのか、墓地や霊園の管理体制を尋ね、景観がどのように移り変わるのかを確かめましょう。
親族と相談する
遺骨をどのように埋葬するのか、同じ区画に何人で入りたいのか、墓標(故人の目印)が必要かなどを契約前に親族と相談しましょう。「故人は先祖代々のお墓に入る」という考えが主流だったなか、ほかの方の遺骨と混ざってしまうことや、草木に向かって手をあわせることに戸惑いを覚える人も少なくありません。事前にしっかりと話し合うことで、考えの行き違いに気をつけましょう。
管理費を確認する
樹木葬は年間管理費や維持費がかからずお墓の後継者を必要としない永代供養であるところが多いです。一方で、樹木や草花の手入れをする上で、数千円~数万円の年間管理費がかかるところもあるため、維持管理費の有無を事前にしっかり確認しておくことが必要です。
宗旨宗派を確認する
樹木葬では宗旨・宗派を不問としているところが多いですが、制限があるところもあります。また、宗旨・宗派不問と広告に掲載されていても、実はその寺院の宗派に改宗すること、檀家になることが必要な場合もあるため、本当に宗旨・宗派不問なのか十分に確認しましょう。
樹木葬が向いている方
ここまで樹木葬の後悔事例とその対処法について解説してきました。ここから、実際にどのような方が樹木葬に向いているのかを紹介していきます。
お墓の費用を抑えたい方
樹木葬では、墓石の代わりに樹木や草花を用いたり、小さなプレートや墓誌に名前を彫刻することが一般的です。昔ながらの石のお墓と比べると墓石を建てる必要がなく、埋葬するスペースが小さいことから費用を安く抑えることができます。
自然に包まれて眠りたい方
樹木葬では、シンボルになる木の周りや草花の中など緑に囲まれた明るい雰囲気のなかで眠ることができます。そのため「自然に包まれて眠りたい」「最後は自然に還りたい」といった方に選ばれています。
お墓の後継ぎに関して悩みたくない方
樹木葬はお墓の後継ぎがいなかったり、子供が遠方にいたりとお墓の維持管理をおこなうのが難しい方におすすめです。樹木葬は永代供養がついているところが多く、お墓の管理の負担を減らせるため、お墓の後継ぎの心配をしたくない方や子供に迷惑をかけたくない方にも選ばれています。
宗旨・宗派のこだわりがない方
昔ながらの一般墓、特に寺院墓地ではお墓を買うと檀家義務があったり、宗旨・宗派の制限があることが一般的です。樹木葬では宗旨宗派を不問としているところが多く、どなたでも契約できます。
まとめ(樹木葬で後悔しないために)
樹木葬は、後継ぎがいらない点や埋葬場所が自然に包まれているなどの特徴が注目されているお墓です。一方で、急速に普及している埋葬方法であるが故に後悔してしまう可能性があります。そのため、樹木葬の特徴、メリットやデメリットについてしっかりと理解をした上で墓地や霊園と契約することが重要です。以下の記事では、樹木葬について詳しく説明をしており、樹木葬選びで失敗しないためのチェックリスト8項目を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
↓「樹木葬選びで失敗しないためのチェックリスト8項目」について詳しく知りたい方はこちらへ↓
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
-
お電話でのお問い合わせ0120-78-7676受付時間 9:00 ~ 17:00
-
メールフォームなら24 時間受付可能です