永代供養は本当に安い?デメリットと合わせてくわしく解説します

永代供養は、一般の墓地のようにお墓の管理を継承する必要がないことから、近年注目されている供養の方法の1つです。
しかし、「永代供養墓は本当に安いのか」「どのようなメリットやデメリットがあるのか」知りたい人も多いのではないでしょうか。
この記事では、永代供養にかかる費用や、永代供養のメリット・デメリットについてくわしく解説します。永代供養を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
永代供養とは

永代供養とは家族や子孫に代わって、寺院や霊園に永代にわたってお墓を供養管理をしてもらうことをいいます。当初は身寄りのない方のために行われていましたが、昨今では寺院や霊園が永代にわたって管理をするということで、お墓の継承者がいなくても安心という点や子供に負担をかけなくて済むという点などから注目されるようになりました。
「永代供養墓」は、名前の通り永代供養がついているお墓のことで、合祀墓や個別安置型、樹木葬など、さまざまな種類があります。
そのため永代供養墓を選ぶ際には、お墓のタイプ、場所、費用などを考慮することが大切です。一般的なお墓とは異なる点もあるので、事前によく確認しておきましょう。
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永代供養墓の種類と費用相場

1. 個別安置墓(石材型):50~120万円
2. 樹木葬:5~100万円
3. 合祀・合葬墓(石材型):5~30万円
4. 永代供養付き一般墓(個人墓):100~150万円
5. 納骨堂(屋内型):20~150万円
6. 納骨堂(屋内自動搬送式):40~150万円
上記のように永代供養墓といってもさまざまな種類があり、それぞれの寺院・霊園によって費用相場にもかなりの幅があります。
ここでは、比較的、費用が抑えられるタイプのお墓や代表的な永代供養墓に絞って、くわしく解説していきます。
合葬・合祀について


合葬や合祀とは、遺骨の埋葬方法のことをいいます。どちらも同じ意味で用いられることがほとんどですが、厳密には異なった意味があります。
合葬は、遺骨が納められている「骨壺」をほかの方の遺骨が収められている「骨壷」とともに埋葬する方法です。一方、合祀は故人の「遺骨」をほかの方の「遺骨」と一緒に埋葬する方法です。
費用イメージ
合祀・合葬にかかる費用の相場は、一般的に5~30万円程度です。基本的に毎年の管理費用は無料ですが、墓標やプレートなどに戒名や名前を彫刻する際は別途費用がかかります。
メリット
合葬・合祀には、次のようなメリットがあります。
● お墓の費用を抑えることができる
合葬・合祀では一般墓のように墓石を用意する必要がなく、遺骨をほかの方と一緒に埋葬するため、永代供養墓のなかでも相場が安く、費用を抑えることができます。
デメリット
合葬・合祀は相場が安い一方、次のようなデメリットもあります。
● 一度合祀すると個別に遺骨を取り出せない
合祀は、1つのお墓のなかで多くの方の遺骨と一緒に埋葬する方法です。ほかの方の遺骨と故人の遺骨が混ざってしまうのが、最大のデメリットと言えます。
あとで気が変わって違うタイプの墓地や霊園を検討したくても、合祀してしまった場合、故人の遺骨だけを取り出すということは二度とできません。将来、分骨や改葬などをする可能性が少しでもあれば、合葬・合祀ではなく、個別に遺骨を埋葬するとよいでしょう。
● 他の方と同じお墓に入ることに抵抗を感じる方も多い
故人の遺骨をほかの方と同じ場所に埋葬することに抵抗を感じる方もいます。故人のお気持ちや自分自身、そして家族や親戚の方とよく話し合って慎重に決めることが大切です。
● お参りの対象がわかりにくい
合祀の墓地の場合、一般的には、大きめの合同埋葬スペースの上に石碑や石塔などシンボル的な建造物があるというタイプのお墓が多く、そのモニュメントに手を合わせることになります。そのため、そこに故人が眠っているという感覚が湧かず、愛する家族のお参りに来た気がしないという人もいます。
個別安置型(マンションタイプ)について

個別安置型(マンションタイプ)は、大きく分けると納骨堂という屋内にあるタイプと屋外にあるタイプがあります。同じ1つの建物に遺骨が納められますが、しっかりと個室に分かれているマンションのようなタイプのお墓です。
合葬・合祀と違って個別に遺骨を安置できるため、ほかの方の遺骨と一緒に埋葬されることに抵抗がある方にもおすすめです。
費用イメージ
個別安置型(マンションタイプ)の費用相場は一般的に50〜120万円程度です。期間に制限がなく永代にわたって個室安置されるのか、一定期間を過ぎると合祀になるのかによって費用相場にも差があります。
メリット
個別安置型(マンションタイプ)の永代供養墓には、次のようなメリットがあります。
● ほかの方の遺骨と一緒にならず自分や家族だけのスペースで眠れる
個別安置型であれば、昔ながらの一般墓のように永代にわたって個別のスペースで眠ることができます。ほかの方の遺骨と混ざってしまうことがないため、永代供養を望んでいるが合祀には抵抗があるという方に特におすすめです。
● 一般墓と比べて費用が安い
一般墓の場合、土地代や墓石代などで150~350万円程度の費用がかかるのに対して、個別安置型のお墓の費用相場は50万円〜と、費用を抑えることができます。
デメリット
個別安置型の永代供養墓には、次のようなデメリットもあります。
● 合葬・合祀などより費用がかかる
個別のスペースが保証されているため、費用はその分上がりますが一般墓よりは安く、それぞれの中間的な価格帯といえるでしょう。
● 個別安置期間が設定されている可能性がある
個別安置といっても、13年、33年など一定期間をすぎると合祀とする墓地や霊園も少なくありません。永代にわたって個別のスペースを使用できるのか、期間については寺院や霊園で十分に確認しましょう。
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樹木葬について


樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標(シンボルツリー)とするタイプのお墓です。遺骨を土に埋葬するので、最後は自然に還りたいという方におすすめです。樹木葬は一般的に個別安置型(マンションタイプ)のお墓より相場が安く、個別タイプのものもあります。
樹木葬は一般的に個別安置型(マンションタイプ)のお墓より相場が安く、個別タイプのものもあります。
費用イメージ
樹木葬にかかる費用相場は、一般的に5~100万円程度です。個別スペースがあるタイプか合祀タイプなのか、あるいは樹木の種類や立地、遺骨を保管する期間によっても費用は異なってきます。
メリット
樹木葬には次のようなメリットがあります。
● 一般墓や個別安置型のお墓よりも費用が抑えられる
樹木葬は20万円~と個別安置型(マンションタイプ)のお墓よりも費用を抑えることができます。
● 遺骨を自然に還すことができる
樹木や草花の下に埋葬される樹木葬は、一定の期間を経ると遺骨が土に還ります。死後、自然に還ることを望む方にぴったりな埋葬方法と言えます。
デメリット
樹木葬には次のようなデメリットもあります。
● 場所によっては交通アクセスが悪い
埋葬場所が分かりやすい都市型の樹木葬であれば、人通りのある都市部に位置しているため、交通アクセスも整っています。
しかし、山林のなかに埋葬する里山型の場合、お墓までのアクセスが悪い可能性があります。お墓までの道のりが整っておらず、雨が降ると悪路になるというケースも少なくありません。
● 合祀タイプの樹木葬が多い
樹木葬にも個別のスペースに埋葬するタイプはありますが、多くの場合は合祀タイプを採用しています。ほかの方の遺骨と一緒に埋葬される合祀タイプを選ぶと、二度と遺骨を個別に取り出せなくなります。合祀されることに抵抗を感じる方は、事前に寺院や霊園に確認しておきましょう。
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永代供養墓の選び方のポイント

ここからは、永代供養墓を選ぶ際に気をつけたいポイントについて解説します。
お墓のタイプ
永代供養墓には大きく分けて「合祀タイプ」と「個別タイプ」の2種類あります。合祀タイプはお墓にかかる費用を抑えることができる反面、ほかの方の遺骨と一緒に埋葬されるため、個別に遺骨を取り出せません。
個別タイプは一般的なお墓と同様、故人の遺骨を個別で埋葬・供養することができます。永代供養墓全体のなかではそこまで安いタイプではありませんが、一般墓よりはかなり費用を抑えることができます。
永代供養墓を選ぶ際は、まずは合祀タイプと個別タイプのどちらがよいかを家族で話し合いましょう。家族に負担をかけたくないという理由で合祀タイプを希望していても、残された家族が合祀に抵抗を感じることもあるでしょう。
お墓へのアクセス
遠方にあるお墓の引っ越し先としてもよく選ばれる永代供養墓ですが、せっかく近くに遺骨を移したのに思ったよりアクセスが悪く、結局あまりお墓参りに行っていないというケースもあります。お墓へのアクセスは十分に確認しましょう。
アクセスしやすいかどうかは、以下のポイントで判断することができます。
● 最寄りの駅・バス停からの距離
● 駐車場の有無
● 墓地までの道のりの状況
● 墓地や霊園の開園時間
お墓へのアクセスで、お墓参りに行きやすいかどうかが変わります。墓参りに行く頻度や墓参りにかかる時間・費用を考慮して、アクセスしやすい永代供養墓を選ぶことが大切です。
宗旨・宗派について
永代供養墓は、宗旨・宗派を問わないことが一般的です。しかし、なかには特定の宗旨・宗派に限定している永代供養墓もあるので、事前に確認が必要です。永代供養墓を選ぶ際には、寺院や霊園に宗旨・宗派について聞いてみましょう。
維持費や寄付金
永代供養墓ははじめに費用を支払えば、毎年の管理費用などの追加費用がかからないことが一般的です。
しかし、契約内容によっては年間管理料が別途かかったり、寄付金をお願いされたりする場合もあります。永代供養墓を契約する際に、維持費や寄付金が発生するかを必ず確認しておきましょう。
納骨人数
永代供養墓の費用は、納骨人数によって異なる場合が多いです。納骨人数に応じて納骨スペースの広さや管理費などがかかるため、納骨を依頼する人数が多いほど費用相場は高くなる傾向があります。
また、永代供養墓のなかには、納骨人数が制限されているところも多いため、お墓に何人で入る予定か考えて、墓地・霊園へも事前によく確認しておきましょう。
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お墓選びや供養についての考え方

供養にはさまざまな方法がありますが、大切なのは故人のことを思い、心を込めておこなうことです。
安いお墓を探そうとすることや供養にかける費用を抑えるのはよくないと考えて罪悪感を感じてしまう方もいるかもしれませんが、自分の生活に負担をかけすぎるべきではありません。故人の方も遺族の方が気持ちよく供養してくださることを望んでいるはずです。
もちろん、この記事で紹介してきたように、安いお墓にはメリットばかりではなくデメリットもあります。どんな供養をしてあげたいかを一番に考え、自分の生活に合った費用とデメリットのバランスをよく考えて選ぶようにしましょう。
この記事の監修者

小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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