永代供養にしたその後は?遺骨の管理や納骨後の法要、費用やお墓参りについても解説
永代供養とは、遺骨をお寺に預け、お寺や霊園が続く限り半永久的に家族や先祖の供養をおこなってもらうことです。
身寄りのない方、承継者のいない方、子孫に負担をかけたくない方に選ばれる永代供養ですが、そのあと、お骨の扱いはどのようになるのでしょうか。
また、ひとことに「永代供養」と言っても、その方法はさまざまで、それによって費用やお参りの仕方も異なります。
この記事では、主に永代供養後の遺骨の管理と、それにともなう法要や費用、お参りについてくわしく解説します。
永代供養にした遺骨のその後は?
永代供養にした場合の遺骨の保管方法は主に、「合祀墓」「集合安置墓」「個別安置墓」の3つがあります。
次の表を見ていただいた上で、それぞれ具体的に解説いたします。
埋葬の方法 | 礼拝の場所 | |
合祀墓 | 共用(骨壺から出して合祀) | 共用 |
集合安置墓 | 共用(骨壺のまま安置) | 共用 |
個別安置墓 | 個別(骨壺のまま安置) | 個別 |
合祀墓の場合
合祀墓とは、骨壺のなかから遺骨を取り出し、ほかの方と同じ場所に埋葬するタイプのお墓です。
石塔や仏像などのモニュメントの地中にカロート(遺骨を納めるための空間)が作られており、そのなかに埋葬します。
1つの場所を複数の方で利用するので、費用は安く抑えられますが、ほかの方の遺骨と混ざってしまうというデメリットがあります。
集合安置墓の場合
集合安置墓とは、合祀墓と同じようにひとつの石塔を複数の方と共有しますが、埋葬方法が異なります。
集合安置墓では、骨壺から遺骨を取り出すことなく、石塔や仏像などの躯体内部に設置された棚に、骨壺のまま並べて安置します。そのため、ほかの方の遺骨と混ざることはありません。
個別安置墓の場合
個別安置墓とは、お参りする場所や納骨するスペースも個別に利用できるお墓で、従来の一般墓と比べるとコンパクトなのが特徴です。
埋葬も礼拝もほかの方と共用することなく、いわゆる「自分たちだけのお墓」を持つことができます。
なお、個別安置墓への埋葬期間は霊園によってさまざまです。一定期間を過ぎると遺骨を合祀墓に移すものが多いですが、一部、合祀にはならずに永代に渡って同じ場所に埋葬し続けられるものもあります。
合祀になると遺骨は返還されない
永代供養でポイントとなるのが「合祀」です。
集合安置墓や個別安置墓の多くは、契約で定められた個別安置期間が満了するか、訪れる方がいなくなった場合、遺骨を合祀墓に移し、永続的に供養をおこないます。
しかし、永代供養を望むものの、ほかの方の遺骨と混ざってしまうことを好まない方もいますし、一度合祀墓に移してしまうと、万が一返還してもらいたいとなったとしても、物理的に不可能です。
そのため、永代供養をする際は、遺骨の最終的な扱いについて、事前に確認しておくことが重要です。
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永代供養のお墓を購入したその後の費用は?
次に、永代供養後に発生する主な2つの費用「法要にかかる費用」と「お墓やお寺にかかる費用」についてくわしく解説します。
法要にかかる費用
永代供養のお墓を購入したあとも、遺された遺族の希望で法事を営むことができます。1度の法要には次のような費用がかかります。
・寺院への御布施(3~5万円)
・寺院への御膳料(3~5千円)
・寺院への御車代(僧侶の移動がある場合。3千~1万円)
・会場代(斎場やホールを利用する場合。3千~2万円)
・会食代(会食をする場合。1人当たり3千~5千円)
その他、引き物、供花供物、塔婆供養料などが必要な場合もあります。
永代供養墓の年間管理費・寄付金
永代供養をする場合、基本的に年間管理費や寄付金は不要です。
ただし、一部寺院や霊園の方針によって、年間管理費を求められることがあります。年間管理費の相場は5千~2万円くらいでしょう。
永代供養にしたその後は法要はおこなう?
永代供養を選択した方のなかには、「永代供養にしたあとも法要をすべきなのだろうか」と疑問を持つ方も多くいます。
そんな方のために、この章では、法要を実施すべきかどうかの判断の目安や、法要の意義について考えてみたいと思います。
法要をおこなう意義
永代供養とは、遺骨をお寺や霊園に預け、そのあとの供養をお寺に委ねることです。仮に家族が法要を執り行わないとしても、お寺がきちんと供養をしてくれるので、その点においては安心です。
それでも、身体が元気なうちは、法要をし続けることをおすすめします。なぜなら、永代供養にしたあとも、故人と家族とのつながりそのものが途切れるわけではないからです。
供養で大切なのは、遺骨の置き場所よりもむしろ、遺された家族自身の「心のあり方」ではないでしょうか。
そんな観点から、法要には次の3つの意義があると思われます。
<僧侶という存在>
僧侶という供養の専門家の存在が、大きな安心感をもたらしてくれます。
日々の暮らしのなかで、故人を偲んでお仏壇やお墓の前で手をあわせる、これだけでも充分に立派な供養です。
しかし、目に見えない存在と向き合うことには不安がともないます。
「この方法でいいのかな?」
「故人は成仏してくれているかな?」
…などの不安を和らげ、供養を確実におこなうための道しるべとなってくれるのが、僧侶という存在です。
<家族や親戚との再会>
法要というきっかけがあることで、普段なかなか会うことのない家族や親族とも、定期的に再会を果たすことができます。
普段は自分だけでおこなう故人への弔いをみんなで一緒におこなうことが、大きな安心へとつながります。
久しぶりの再会ですから、近況報告をしあったり、思い出話を交わすシーンも少なくありません。こうした時間があるからこそ、お互いのつながりを再確認し、絆を強めることができます。
<自分自身を見つめ直す機会>
僧侶による供養、家族や親戚との再会は、きっと自分自身を見つめ直す機会となるはずです。
普段は何かと忙しく、目の前の生活に追われがちですが、法要の時は、日常の喧騒を離れ、ただ静かに腰を落ち着け、故人と向き合い、心静かに合掌します。こうした時間こそが意義深いのです。
その時間が「生きるとは、死ぬとは、どういうことだろうか」と考えを巡らせることにもつながりますし、僧侶の法話から、普段考えることのない深く本質的なことを得られるかもしれません。
法要という儀式が意義深いのは、日常から距離をとることができるからです。距離をとるから、自分自身を客観的に見つめ直せます。
お寺という仏さまに守られている空間に身を置き、故人と向き合うことで、自身の日々の暮らし、これからの人生、生きることの意義について向き合う機会となることでしょう。
このように考えてみると、法要は故人のためであるばかりでなく、遺された私たちのためのものでもあるのです。
いつまで法要をおこなった方がよい?
永代供養をしたあとも個別に法要を営むことができますが、いつまで続けるべきなのでしょうか。
法要は一般的に、故人の死後一周忌、三回忌、七回忌といった重要な忌日に行われ、伝統的なしきたりでは三十三回忌までおこなうべきとされています。
近年は葬儀後まもない三回忌や七回忌くらいまでが一般的です。
しかし、いつまでおこなうべきかの明確な決まりがあるわけではないため、各家庭の心情に向き合うことが大切です。
「お坊さんに供養をしてもらおう」と思うのであれば法要を営むべきですし、「自分たちで手をあわせるから大丈夫」と納得できるなら、無理に営まなくても構いません。
永代供養で法要をおこなう主な5つのタイミング
多くの人が「法要」と聞くと、一周忌や三回忌などの回忌法要を想像しますが、実際にはそのほかのさまざまな機会においても法要をおこなうことがあります。具体的に、次の5つが挙げられます。
回忌法要
回忌法要とは、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌と続け、三十三回忌による供養の完成(「とい切り」や「弔い上げ」などと呼ばれる)までの法要のことです。
永代供養にする方は、身寄りのない方や承継者のいない方、子どもたちに負担を考えたくないと考える方が多いので、三回忌や七回忌までとする方が多い傾向にあります。
ただし、前の章でもお伝えしたように、身体が元気である限り、故人の安寧を願い、また自分自身の心の平穏のためにも回忌法要を営むことをおすすめします。
なお、法要を営むには僧侶の読経が必要となるので、永代供養墓を管理するお寺や霊園に相談してみましょう。
お盆
お盆とは、ご先祖さまや故人がわたしたちのもとに帰ってくるとされる時期のことです。
お盆になると、日本中で僧侶による「棚経参り」やお寺でおこなわれる「施餓鬼法要」、さらには各家の仏壇やお墓へのお参りなどが見られ、亡き故人への供養が行われます。
とくに、初盆は僧侶をお迎えして手厚く供養をしたいものです。
初盆とは故人が亡くなってはじめて迎えるお盆のことです。仏さまとなったばかりの故人にとってのはじめての里帰りを、家族や親族で迎えてあげましょう。
また、家族にとってもまだまだ悲しみが癒えない時期ですから、初盆に家族や親族が集まることで、お互いをいたわりあうことにもつながります。
お盆は家族や親族が集まりやすい時期です。だからこそ、初盆に限らず翌年以降も僧侶をお迎えし、お盆の供養を継続するのがよいでしょう。
お彼岸
お彼岸とは、春分と秋分を中心とした、年に2度ある仏事行事です。自身の修行(六波羅蜜を修する)期間とされるとともに、死者や先祖の供養の時期としても捉えられています。
お彼岸に法要を営む方は多くありませんが、「1年のなかであの世とこの世が最も近くなる日」「西のかなたにいる阿弥陀仏に極楽往生を願う日」として、死者供養をおこなう大切な時期です。
祥月命日
祥月命日(しょうつきめいにち)とは、一周忌、三回忌、七回忌などの特定の回忌年とは重ならない命日を指します。これらの年にも、故人のことを偲んで法要を営む方もいます。
月命日
毎月やって来る命日のことを月命日(つきめいにち)と呼びます。たとえば、4月5日に亡くなった方の場合、毎月5日が月命日にあたります。
一般的にはお墓参りをする程度で、僧侶を招くほどではありませんが、地域によっては僧侶による毎月のお参り(「月参り」と呼ぶ)が当たり前のところもあります。
永代供養のその後におこなう法要の流れ
法要当日をどのように迎えたらよいのでしょうか。この章では、その具体的な流れについて解説いたします。
法要の相談・依頼
まずは、永代供養をお願いしている寺院・霊園に法要の相談をしましょう。主に日程と場所を決めます。
日程は、故人の祥月命日当日、あるいはその手前の参列しやすい日(土日祝日など)で設定します。
場所は、多くの場合は永代供養墓のあるお寺の本堂や霊園の法要室で営まれます。自宅に仏壇があれば、僧侶に自宅まで来てもらっても構いません。
そのほか、法要に何が必要かを事前に確認しておきましょう。
当日の法事
当日は、時間にあわせて現地に集合します。法要開始の30分前には到着するとよいでしょう。僧侶による法事(読経供養)、お墓参りの順に進み、会食の席を設けます。
参列者は焼香をするため、数珠を忘れないようにしましょう。
また、よく聞かれるのが「お布施はいつ渡せばいいですか?」というもの。特にタイミングに決まりはありませんが、法要が始まる前にお礼のことばとともに僧侶に直接手渡すのが一般的です。
当日の法要の段取りについて不安に思うことがある場合は、事前にお寺や霊園に相談しましょう。
お墓参り
法事を終えたあとは永代供養墓にもお参りしましょう。お墓は故人の遺骨が眠る場所であり、お墓参りは故人を偲び、家族が集まって故人を思う大切な時間です。
家族たちのお参りをきっと故人も喜んでくれることでしょう。
会食
法事のあとには会食の席を設けるのが慣例です。可能であれば、会食を通じて家族間の絆を深め、故人をともに偲ぶ時間にしましょう。
食事をともにすることで、そこにいる方たちの絆を深めるいい機会となります。また、自分のために集まってくれた家族たちが仲睦まじく会話している姿を、故人もうれしく感じていることでしょう。
少人数だけの法事の場合は無理に会食の席を設けなくても構いません。
永代供養のお墓参りの方法は?
永代供養のお墓参りは、契約したお墓の種類によって、お参りの方法が異なります。それぞれのお墓の種類にあわせたお参りの方法をくわしく説明します。
集合墓・合祀墓
集合墓では、複数の遺骨を1つのお墓に納めるため、共用の礼拝スペースを利用します。共有のモニュメントの手前に香炉や供花台が設置されており、ここにお花やお線香を手向けて、手をあわせます。
共同利用なので、ほかの方のお花があふれてお供えの場所がない、お盆時期に込み合うなどのことが予想されます。
個別安置墓
個別墓とは、自分たちだけのお墓のことです。礼拝の対象となるモニュメントも、遺骨の埋葬も、ほかの方との共同利用ではなく、自分たちだけでおこなえます。
近年はコンパクトな墓石やプレート型の石碑が多く、そこには家名や故人の名前を彫刻できます。
個別墓のよい点は、故人がどこに眠っているかがひと目で分かり、故人に向けて手をあわせられることです。自分たちだけのお墓なので、プライバシーが保たれ、心静かにお参りができます。お線香やお花のお供えの際の気兼ねもありません。
樹木葬
樹木葬とは、墓石ではなく樹木を墓標としたお墓、あるいは樹木に囲まれた環境でお参りできるお墓の総称です。
デザインは霊園によってさまざまで、樹木そのものを礼拝の対象とするものや、石のモニュメントや石板プレートなどに向かって手をあわせるタイプのものなどがあります。
個別型の樹木葬を契約したのであれば、家族ごとに墓誌やシンボルツリーが設けられ、それに向けて手をあわせます。集合型や合祀型の樹木葬であれば、礼拝スペースも共同利用となります。
樹木葬霊園によっては自然保護のため、お供え物や線香が制限されていることもあります。
納骨堂
納骨堂では、建物のなかに並ぶ納骨壇に対してお参りをします。
ロッカー式や仏壇式のように、個別に骨壺を安置できるタイプのものであれば、その前で手をあわせられます。
自動搬送型と呼ばれるものは、平時はバックヤードに格納された遺骨が、家族がお参りにやってきた際のみ参拝ブースまで自動搬送されます。運ばれてきた遺骨に対して、家族は手をあわせます。
なお、納骨堂は屋内施設のため、火災予防の観点などから線香の使用を禁止しているところも少なくありません。
永代供養のその後についてよくある質問
最後に、永代供養のその後についてよくいただくご質問にお答えいたします。
永代供養のあとのお骨はどうなるの?
基本的には、一定期間が過ぎたあとは合祀墓に移されます。
永代供養とは、身寄りのない方や承継者のない方が守られている家族や先祖の遺骨を、お寺や霊園に託すことですから、一定期間の経過後、あるいはお参りの方がいなくなったあとは、合祀墓に移され、ほかの方とひとまとめにして永代にわたり供養をしてもらいます。
一方で、合祀にしてほしくないというニーズも一定数あり、こうした声に応えるものとして、合祀にしないままずっと供養を受けられる永代供養墓もあります。
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永代供養では法事をしなくても大丈夫ですか?
永代供養とはお寺や霊園に供養を託すことですから、仮に家族の方が法事をしなくても、供養そのものはきちんとし続けてもらえます。
それでも、家族が元気なうちは、故人を主体的に供養することが望ましいです。生きている限り、故人とのつながりは続くわけですから、定期的に法事をされることをおすすめします。
詳しくは「永代供養にしたその後は法要は行う?」をご覧ください。
永代供養した後のお盆はどうなりますか?
お盆は、故人やご先祖さまを偲ぶための仏教行事です。永代供養をしたあとも、お盆の時期になったらぜひともお墓参りをして差し上げてください。
特に初盆は、故人にとってのはじめての里帰りですから、僧侶を招いて法事を営むことで、より手厚く故人を供養してあげましょう。
永代供養のあとはどうすればいいですか?
永代供養をしたあとに、家族の方が特別にしなければならないことはありません。
しかし、ここまで述べてきたように、供養とは「心のあり方」ですから、日常的なお墓参り、年に1度、数年に1度の法事などが、故人のためになり、ひいては遺された家族の心の平穏にもつながることでしょう。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
永代供養は、遺骨をお寺や霊園に預け、故人の供養を委ねることにより、遺された家族の将来の不安を解消してくれます。遺骨の取り扱いも、一定期間の個別安置を経て合祀されるものや、遺骨を預けた時点で合祀されるものなど、家族の希望にあわせて選ぶことができます。
大切なのは、供養とはあくまで故人に対する「心のあり方」の問題だということ。「永代供養にしたから、あとは何もしなくてもいいんだ」と考えるのではなく、自分たちが元気なうちは故人への供養を継続していきたいものです。そのための方法として、永代供養をしたお墓へのお参り、法事や法要の実施などが挙げられます。
大切な家族や先祖、そして自身の死後の供養を託すわけですから、安心できるお寺や霊園に永代供養をお願いしたいものですよね。
全国永代供養墓・樹木葬グループは、日本全国の、信頼できるお寺や霊園をご紹介いたします。永代供養で分からないこと、お困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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