樹木葬と永代供養の違いは?費用や選び方、向いている人などをくわしく解説します

お墓探しや墓じまいを検討していると、「樹木葬」や「永代供養」について耳にしたことがあると思います。この2つの言葉は似ている部分が多く、それぞれの特徴や違いがわかりにくいかと思います。この記事では、樹木葬と永代供養の違いを簡潔に解説をしながら、樹木葬はどんな人に選ばれているのか、実際に選ぶ際にどんなことに注意をすべきかまで紹介していきます。


樹木葬と永代供養の違い

樹木葬と永代供養の違いはどうしてわかりにくいのでしょうか。その最大の理由は、樹木葬が永代供養のお墓の1つだからです。永代供養のお墓には納骨堂や合葬・合祀墓などさまざまな種類があり、そのなかの1つに樹木葬があります。
そもそも永代供養とは供養方法の種類であり、契約した寺院や霊園に永代にわたって遺骨やお墓の供養・管理をしてもらうことを指しています。一方、樹木葬はお墓の中の1種類なのです。
次に、樹木葬と永代供養の違いをしっかりと把握できるように、具体的に樹木葬と永代供養とは何か、それぞれの特徴についてくわしく解説していきます。
樹木葬とは

樹木葬は埋葬場所が草花や樹木に囲まれているお墓です。故人の目印として、墓石の代わりに樹木を用いることや、小さなプレートや墓誌(石材)に名前を彫刻する事が一般的です。遺骨を樹木の根元や土に埋葬するため「自然に包まれて眠りたい」「最後は自然に還りたい」といった方に人気のお墓です。
永代供養とは

永代供養とは、遺族に代わってお寺や霊園に遺骨の供養・管理を任せる供養方法です。一般的に「永代供養墓」というと、永代供養のついた石でできたマンションタイプのお墓や、合祀・合葬墓や納骨堂などを指すことが多いです。
しかし、樹木葬にも永代供養がついているため樹木葬と永代供養の違いがわかりにくいのです。永代供養はお寺や霊園が永代にわたって管理をしてくれることで、子供にお墓の負担をかけなくて済む点やお墓の継承者がいなくても安心な点などがメリットとして注目されています。
樹木葬が向いている人(樹木葬のメリット)
日本最大級のお墓の情報サイト「いいお墓」を運営する株式会社鎌倉新書が実施した「第16回 お墓の消費者全国実態調査(2025年)」によると、2024年に購入されたお墓の種類は「樹木葬」が48.5%とお墓全体の過半数に迫っています。昨今、樹木葬が注目されている理由と合わせて樹木葬がどんな人に向いているのか、解説していきます。

引用:株式会社鎌倉新書/いいお墓「「第16回 お墓の消費者全国実態調査(2025 年)」https://guide.e-ohaka.com/research/survey_2025/
自然に包まれて眠りたい
樹木葬は、従来のお墓に比べ、樹木や草花の中など自然に囲まれた明るい雰囲気を持ち合わせています。また、遺骨を骨壷ではなく土に埋葬するため、ゆっくりと年月をかけて自然に還っていきます。そのため自然に包まれて眠りたい、最後は自然に還りたいといった方におすすめです。
お墓の後継ぎがいない
近年、子どもと親が別々に離れて暮らしていることや、少子高齢化が進んでいるといった背景から、お墓の継承について多くの方が悩んでいます。樹木葬は後継ぎが不要な「永代供養」であるため、お墓を継いでくれる人がいない方におすすめです。
特定の宗旨・宗派にこだわらない
寺院墓地ではお墓を買うと檀家義務が発生したり、宗旨・宗派の制限があることが一般的です。一方で、樹木葬では宗旨宗派を不問としているところが多く、どなたでも契約できます。
お墓にかかる費用を安く抑えたい
樹木葬は、従来のお墓よりも埋葬するスペースが小さく、墓石を建てないことから購入費用を安く抑えることができます。樹木葬の一般的な費用相場は20~100万円とされており、費用相場が100~350万円とされている一般墓と比べると経済的な負担を小さくすることができます。
さらに、年間管理費といった維持費がかからず、購入後の費用の心配が必要ないことも樹木葬が選ばれる大きな理由になっています。
お墓にかかる費用を安く抑えたい
樹木葬では、ペット共葬区画を備えた霊園や永代供養墓で増えています。自然に囲まれた安らぎの空間で、人もペットも同じ場所で永遠の眠りにつけるため、別れの悲しみを和らげる心の拠り所として多くの方に選ばれています。
ただし、全ての樹木葬で受け入れられているわけではないため、大切な家族の一員であるペットとともに眠れるかどうか、事前に問い合わせることが大切です。
樹木葬にかかる費用相場

実際のところ、樹木葬ではどのくらい費用がかかるのでしょうか?樹木葬の埋葬方法は大きく3タイプに分かれ、それぞれ費用や埋葬後の取り扱いが異なります。埋葬方法や埋葬人数など様々なタイプや条件によって、費用に大きく差があるため費用の目安として参考にしてください。

合祀埋葬タイプ
合祀(ごうし)・合葬とは、シンボルツリーの根元に設けられた共有スペースに、複数の方の遺骨を混ぜて埋葬する方法です。最も費用が安く抑えられる反面、ご家族やご自身の遺骨がほかの方々と混ざってしまうことに抵抗を感じる方も少なくありません。
集合埋葬タイプ
集合埋葬とは、シンボルツリーやプレートなどの墓標は他の方と共有するものの、遺骨自体は個別の小区画(骨壷または自然に還る骨袋)に分けて埋葬する方法です。ただし、シンボルは共有なため、お参りの際に故人が眠っているということへの実感が薄い場合があります。
個別埋葬タイプ
個別埋葬は、地中に設けられた個人または家族単位の区画に、ほかの方の遺骨と混ざらないよう埋葬する方法です。小さな墓誌やプレートの設置もできるため、どこでお参りすればよいのか分からない、どこに向けて手を合わせればよいか分からないといった心配もありません。
さらに費用の詳細について知りたい方は以下の記事をご覧ください。費用を安く抑えることができる6つのポイントも紹介しております。
↓樹木葬の費用について詳しく知りたい方はこちら↓
樹木葬で失敗しないための注意点

最後に、自分の要望にあった樹木葬を選ぶために以下のポイントに気をつけましょう。
事前見学をする
自宅からアクセスしにくいとお墓参りに足が遠のいてしまう場合があります。また、綺麗な自然に惹かれ契約したものの、秋冬に樹木や草花が枯れてしまい、お参りに来た時に後悔することもあります。事前見学をしっかりと行い、墓地へのアクセスや景観の変化を事前に確認しましょう。
親族と相談する
「故人は先祖代々の石のお墓に入る」という考えを持っている方のなかには、草木に向かって手を合わせることに戸惑いを覚える方も少なくありません。事前に家族や親族間で樹木葬の特徴について話し合い、考えの行き違いがないように注意しましょう。
管理費を確認する
樹木葬は年間管理費や維持費がかからない場合が多いです。一方、樹木や草花の手入れをする関係上、数千円〜数万円の年間管理費がかかる霊園もあります。そのため、維持管理費の有無を事前にしっかり確認しておくことが重要です。
宗旨宗派を確認する
樹木葬では宗旨・宗派を不問としているところが多いですが、制限があるところもあります。また、宗旨・宗派不問と広告に掲載されていても、実はその寺院の宗派に改宗すること、檀家になることが必要な場合もあるため、本当に宗旨・宗派不問なのか十分に確認しましょう。
まとめ

樹木葬と永代供養は混同しやすいですが、永代供養のお墓の1つとして樹木葬があります。永代供養とは、遺族の代わりに寺院や霊園が遺骨を管理、供養する供養方法のことを指し、樹木葬は、埋葬場所が自然に囲まれたお墓のことです。樹木や草木に囲まれたお墓を探している方や、後継ぎの必要ないお墓を探している方はぜひ樹木葬の購入を検討してみてはいかがでしょうか?
↓樹木葬について詳しく知りたい方はこちらへ↓
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この記事の監修者

小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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