改葬許可証とは?お墓の引っ越しに必要な書類の入手方法と注意点をくわしく解説します
現在納骨されているお墓を墓じまいして、別のお墓に遺骨を移動させる、お墓の引っ越しのことを改葬と言います。改葬許可証とは、このお墓の引っ越しをする際に必ず必要な書類です。改葬許可証は手続きの流れやポイントさえ知っていれば誰でも簡単に取得することができます。この記事では改葬許可証は具体的にいつ使用するのか、入手する方法や注意点をくわしく解説します。
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改葬許可証はなぜ必要?
そもそも改葬許可証はなぜ必要なのでしょうか?実は、改葬は市区町村からの許可を得ずにおこなうことができません。「墓地、埋蔵等に関する法律」によって、改葬するためには市区町村から許可を得なければならないことと、市区町村が許可を与える際は「改葬許可証」を交付しなければならないことが定められているのです。
改葬許可証はいつ必要?
次に、改葬許可証が具体的にいつ必要なのか、実際に使用するタイミングについて解説します。
遺骨を取り出す時
墓じまいの際に、現在納骨されているお墓から遺骨を取り出す時に改葬許可証が必要です。現在、納骨されている墓地の管理者に改葬許可証を提示しましょう。そのあと、魂抜きと呼ばれる閉眼供養をしてもらい遺骨を取り出します。
お墓を解体・撤去する時
現在、納骨されているお墓の解体・撤去を依頼する際にも改葬許可証は必要です。工事の当日までに改葬許可証が必要なため、業者との契約の際に改葬許可証を提示することが一般的です。業者に工事の依頼を検討する際は事前に改葬許可証の申請手続きをしておくとよいでしょう。
新しいお墓に納骨する時
新しいお墓に納骨する際にも改葬許可証が必要です。新しい墓地の管理者に改葬許可証を提出すると納骨が可能になります。納骨の際はお墓に魂を入れ込む開眼供養や、納骨法要をおこなってもらいます。
改葬許可証の申請先
次から具体的に改葬許可証を入手する方法を解説していきます。改葬許可証を発行してもらう申請先は「現在、納骨されている改葬元のお墓がある市区町村の役所」です。改葬先の新しいお墓がある市区町村の役所と間違わないようにしましょう。
改葬許可証の入手に必要な3つの書類と費用
改葬許可証を入手するためには3つの書類が必要になります。これらの書類は各市区町村のホームページから簡単にダウンロードできることが一般的です。次から3つの書類の内容とおおよその費用を解説します。名称や内容は自治体ごとに異なる点もあるため、「概要」を理解するようにしましょう。
受入証明書
新しい墓地に受け入れてもらえることを証明するための書類です。改葬先の新しい墓地管理者の署名や捺印が必要です。その墓地の契約書や使用許可書などを代わりに提出すればよい場合もありますので、自治体のサイトなどで確認しておきましょう。受入証明書の発行手数料はかからないことが一般的です。
埋蔵証明書
現在のお墓に誰が埋蔵されているかを証明するための書類です。現在の墓地管理者の署名や捺印が必要です。各自治体の所定の用紙でも、墓地独自の用紙でも問題ありません。また、後に説明する「改葬許可申請書」のなかに墓地管理者の署名捺印欄があり、「埋蔵証明書」としても兼用できる自治体もあるので事前に確認しましょう。埋蔵証明書の発行手数料は各墓地・霊園によって異なりますが、基本0円です。
改葬許可申請書
改葬許可証の発行を申請するための書類です。一般的には故人の情報や申請者の情報を記載するものが多いです。この「改葬許可申請書」「埋蔵証明書」「受入証明書」の3種類をあわせて提出するとことで、「改葬許可証」が交付されます。手続きにかかる手数料は各自治体によって異なりますが、0円です。
改葬許可証を入手する際の注意点
次に、改葬許可証を入手する際に気をつけておきたい注意点を見ていきましょう。
改葬許可証は遺骨1体につき1枚必要
改葬許可証は遺骨1体につき1枚の申請書を提出する必要があります。改葬を検討しているお墓に先祖が3名眠っている場合は3通申請しなければならない点を注意しておきましょう。
改葬許可証の交付期間
改葬許可証が交付されるまでの期間は、各自治体によっても異なりますが、通常は3日〜1週間ほどです。各市区町村の役所の土日祝日など休業日を除いた営業日でこの期間が必要になるため、余裕を持って準備しましょう。
改葬許可証の有効期限
改葬許可証に有効期限はないため、書類があればいつでも改葬の手続きを進めることができます。ただし、改葬先の新しい墓地のなかには、契約してから納骨までの期間に規定がある場合もあるため、その期限に注意して進めましょう。
改葬の手順
これまで改葬許可証を入手する方法や注意点について解説してきました。最後に、改葬許可証の入手とあわせて、実際に改葬する手順を見ていきましょう。
①家族や親族と相談
改葬をおこなう前に、まずは家族や親族の理解を得ることが重要です。お墓は自分だけでなく、故人や先祖のことを思う家族や親族全員に関わりのあるものです。改葬をおこなう理由や背景を丁寧に説明し、相談するとよいでしょう。改葬によってお墓の管理や維持費が変わることがあるため、その点についても説明し、家族や親族の不安や心配を取り除くことが大切です。
②改葬元の墓地管理者と相談
これまで解説してきた通り、改葬をおこなうためにはお墓の管理者の許可が必要です。改葬を検討している旨をお墓の管理者に伝え、改葬の理由や背景を丁寧に説明しましょう。お墓の管理者の協力が得られれば、改葬手続きはスムーズに進みます。
③改葬先となる新しい墓地を契約
改葬先となる新しい墓地を探して契約しましょう。お墓を決める際は実際に足を運んでアクセスや環境など自分の目で確認することが大切です。
④改葬先の墓地管理者から受入証明書を入手
改葬先となる新しい墓地を契約したら、その墓地の管理者から受入証明書を発行してもらいましょう。この受入証明書がないと改葬許可証が発行されません。
⑤改葬元の墓地がある市区町村の役所で改葬許可申請書を入手
現在、納骨されている改葬元の墓地がある市区町村の役所で改葬許可申請書を入手、またはホームページでダウンロードしましょう。
⑥改葬元の墓地管理者から埋蔵証明書を入手
現在、遺骨がある改葬元の墓地管理者から埋蔵証明書を発行してもらいましょう。この埋蔵証明書がないと改葬許可証が発行されず、遺骨を取り出すことができません。自治体によっては前項の改葬許可申請書のなかに墓地管理者の署名や捺印欄があり、埋蔵証明書と兼用できる場合もあるので事前に確認するとよいでしょう。
⑦役所に3つの必要書類を提出し「改葬許可証」を入手
現在、納骨されている改葬元の墓地がある市区町村の役所に「受入証明書」「埋蔵証明書」「改葬許可申請書」を提出しましょう。この3つの書類を提出することで「改葬許可証」が交付されます。
⑧改葬元で閉眼供養(魂抜き)をして遺骨を取り出す
今のお墓から魂を抜く閉眼供養をおこなってもらい遺骨を取り出しましょう。この際に墓地管理者に改葬許可証を提示します。
⑨改葬元の墓を解体・撤去して墓地を返還する
石材店などの業者に依頼し、改葬元のお墓を解体する撤去工事をおこないましょう。墓地を更地にして管理者へ返還する必要があります。撤去工事の際には改葬許可証を提示します。
⑩改葬先で開眼供養や納骨法要をして納骨する
改葬先が墓石を建てるタイプのお墓の場合は、そのお墓に魂を入れる開眼供養、改葬先が樹木葬や納骨堂、マンション型の永代供養墓などの場合は、納骨法要をおこない納骨してもらいましょう。納骨する際には改葬許可証を提出します。
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まとめ
改葬許可証について、必要な理由や入手方法、注意点などを解説してきました。この記事の要点を下記にまとめています。
・法律で定められているため、改葬するためには「改葬許可証」が必要
・改葬許可証は遺骨を取り出す際、お墓を解体・撤去する際、新しいお墓に納骨する際に必要
・改葬許可証は改葬元のお墓がある市区町村の役所に申請する
・改葬許可証は「受入証明書」「埋蔵証明書」「改葬許可申請書」の3つの書類が必要
・改葬許可証は遺骨1体につき1枚必要
改葬はほとんどの方が、あまり経験したことがない手続きでしょう。しかし、ポイントや注意点を把握しておけば手続き自体は難しくありません。この記事が皆さまのスムーズな改葬に役立てば幸いです。
この記事の監修者
小原 崇裕
2002年に「NPO法人永代供養推進協会」を設立し代表理事に就任。まだ永代供養が知られていない20年以上前から日本の永代供養墓の普及・推進に努める。年間約1500件の無料仏事相談を受け、エンディングをめぐるお葬式やお墓などへのアドバイスと支援活動に従事。著書に『安心できる永代供養墓の選び方』。シニアライフマネジャー1級。
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